2019 Fiscal Year Research-status Report
統合的解析を駆使したアンドロゲンによる骨格筋制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K19947
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
酒井 大史 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (00820804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 幹細胞 / 筋再生 / アンドロゲン / アンドロゲン受容体 / Pax7 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 骨格筋幹細胞特異的AR遺伝子欠損マウスの作出 骨格筋幹細胞特異的にタモキシフェン誘導型のCreを発現するマウス (Pax7CE-Fan)と、AR floxマウス(ARf/y)との交配により、骨格筋幹細胞特異的AR欠損マウス(Pax7CE-Fan;ARf/y)を作出した。このマウスの8週齢時に、タモキシフェンを腹腔内投与することで、骨格筋細胞特異的にARの発現が減少していることを確認した。 (2) Pax7CE-Fan;ARf/yマウスにおける筋損傷ならびに再生期の骨格筋の評価 上記のマウスに対して、Cardiotoxinによる筋損傷5・14日後に前脛骨筋(Tibialis anterior, TA)を回収し、筋重量測定後、凍結切片を作成した。その結果、CreコントロールマウスであるPax7CE-Fanにおいても、Pax7発現細胞数が減少しているという表現系を見出した。 (3) 新たな骨格筋幹細胞特異的AR遺伝子欠損マウスの作出ならびに再生期の骨格筋の評価 上述とは別のCreマウス(Pax7CE-Gaka)とARf/yとの交配により、Pax7CE-Gaka;ARf/yマウスを作出した。このマウスにおいても、骨格筋細胞特異的にARの発現が減少していた。筋損傷5・14日後にTAを回収し、筋重量測定後、凍結切片を作成した。その結果、コントロールマウスとミュータントマウスの間に、有意な表現形の差が見られなかった。 以上の結果から、Pax7CE-Fanを使用する実験では適切なコントロールを取る必要があること、ならびに骨格筋再生時には骨格筋幹細胞におけるARの発現は必須ではないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、骨格筋幹細胞特異的AR遺伝子欠損マウスを作出し、その骨格筋再生における表現系を解析した。その結果、骨格筋再生時には骨格筋幹細胞におけるARの発現は必須ではないことが示された。以上の結果を以下のように論文発表した。Sakai H, Sato T, Kanagawa M, Fukada S-i, Imai Y (2020). Androgen receptor in satellite cells is not essential for muscle regenerations Experimental Results, 1-9. https://doi.org/10.1017/exp.2020.14 そのため、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) Pax7CE-Gaka;ARf/y; R26tdTomato/+マウスにおける骨格筋肥大の評価 代償性筋肥大の誘導によって、骨格筋幹細胞が骨格筋線維と融合するかどうかを確認するために、Pax7CE-Gaka; R26tdTomato/+マウスに、一般的な筋肥大モデルである共同筋腱切除を行う。14日後に足底筋を採取し、凍結切片で、骨格筋線維を取り巻く細胞外基質であるLamininに対する免疫染色を行い、筋線維横断面積(cross sectional area, CSA)を測定することで、骨格筋線維の肥大を定量する。また、tdTomato陽性の骨格筋線維の面積測定することで、筋肥大における骨格筋幹細胞の寄与の程度を定量する。続いて、Pax7CreERT2/+;ARflox/y;R26tdTomato/+マウスを用いて同様の実験を行い、筋重量、CSA、tdTomato陽性面積を測定し、骨格幹細胞でのARの発現が、筋肥大に影響を与えるかどうかを確認する。 (3) 骨格筋組織からのRNA抽出ならびにRNA-seqの実施 上述の実験で得た骨格筋ならびに骨格筋幹細胞からRNAを抽出し、RNA-seqを行う。上記の2条件を比較することで、骨格筋線維ならびに骨格筋幹細胞におけるアンドロゲン応答遺伝子を絞り込む。
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Causes of Carryover |
研究が、予定よりも進行したため。次年度の実験に使用する予定。
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Research Products
(6 results)