2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20093
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 勇起 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (10635395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 建機遠隔操作 / 身体性 / 運動主体感 / 身体所有感 / 前庭感覚 / 体性感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
深刻化する建設技能者の不足や,現場無人化による本質的な安全確保などを目指し,建設機械の遠隔操作に関する研究開発が行われているが,その場に存在しているような臨場感や没入感が得られず,作業効率が低下すると言われている.この原因は,身体性拡張の観点からは,遠隔操作の送受信信号の遅延や,操縦席が動作しないことなどによる前庭感覚や体性感覚情報の不足により,運動主体感や身体所有感が喪失したためであると考えられる.運動主体感とは自己身体感覚の一種で,この運動を引き起こしたのは自分であると感じられる感覚である. 2019年度は,建機と同期して操縦席が回転する建機遠隔操作システムの開発を行った.これにより,建機遠隔操作において,操縦席の回転による前庭感覚・体性感覚情報が,身体性や操作快適性に与える影響を検証可能となった.このシステムは,建機のラジコン,回転座席,3Dカメラ,ヘッドマウントディスプレイ(HMD),PC,コントローラーなどから構成されている.3Dカメラは建機の操縦席に取り付けられており,操作者の装着したHMDに映像を表示する.操作者は,コントローラーにより建機を水平方向に回転させることができる.この時,操作者が着座した回転座席も建機と同期して回転する点に特徴がある.また,2019年度は,まず,回転座席に対する運動主体感や操作精度に,回転座席動作の速度や反応時間が与える影響を検証した.その結果,回転座席動作に反転や遅延が伴う場合,運動主体感や操作精度が有意に低下することが明らかになった. これらの成果を踏まえて,今後は,建機遠隔操作における身体性や操作快適性に操縦席の回転が与える影響を検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の前期に,建機遠隔操作システムを構築する予定であったが,回転座席の製作の遅れなどにより,後期に遅延した. また,後期に建機遠隔操作システムを用いた実験を実施する予定であったが,回転座席のみを用いた実験を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に開発した建機遠隔操作システムを用いて,操縦席の回転による前庭感覚や体性感覚が,身体性や操作快適性に与える影響を検証する.具体的には,ショベルカーのバケットを目標角度まで正確に速く移動させる「旋回位置決め課題」などを実施し,座席回転の有無や送受信信号の遅延が,運動主体感や,操作精度,作業効率,動揺病などに与える影響を評価する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は国外の学会で発表しなかったことや,予定していた被検者実験を実施しなかったことから,その残額が次年度の使用額として生じた. 次年度計画している国内外の学会発表の旅費や,被験者実験の謝金などに使用する予定である.
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