2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K20093
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐藤 勇起 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (10635395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 建機遠隔操作 / 身体性 / 運動主体感 / 身体所有感 / 動揺病 / 視覚 / 前庭感覚 / 感覚矛盾 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害現場の二次災害防止などを目的として,建設機械の遠隔操作に関する研究開発が行われているが,従来の建機遠隔操作システムの操縦座席は固定されているため,視覚と前庭感覚の運動情報の間に矛盾が生じ,映像酔いの発症や操作性の低下が懸念されている.そこで本研究では,快適に操作可能な建機遠隔操作システムの実現を目指し,操縦座席を回転させることが,動揺病や操作性に与える影響を検証することを目的とした. 遠隔操作システムは,回転座席,ショベルカーのラジコン,ラジコンに取り付けたカメラ,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などから構成された.被験者が コントローラーを操作すると,回転座席とラジコンが水平方向に同期して回転した.実験課題として,ショベルカーのバケットの中心を,±45°の位置に配置した目標物に合わせる位置決め課題を10分間行い,座席回転あり条件となし条件で動揺病と操作性をアンケートで評価した. その結果,座席回転なし条件で映像酔いが重症化した人は,映像酔いが重症化しなかっ た人と比較して,座席回転あり条件で映像酔いが有意に軽症化する傾向があった.また,運動主体感の値は,座席回転あり条件では 0よりも有意に大きくなったが,座席の回転なし条件では,0よりも有意に大きくならなかった. これらの結果は,建機遠隔操作において,座席回転なし条件で映像酔いが重症化した人のほうが,軽症である人よりも座席回転による動揺病の軽減効果が期待できることを示唆している.また,座席回転あり条件では運動主体感が生じる可能性を示唆している.本研究により,座席回転によって,建機遠隔操作システムの操作快適性が向上する可能性が示唆された.さらに,操作快適性の向上を目指し,軽量なス マー トグラスや,より広い視野に高解像度,低遅延のカメラ映像を無線で提示可能なHMDを用いたシステムを開発した.
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