2020 Fiscal Year Research-status Report
数理モデルと実演解析によるロボット身体と行動知能の同時探索の理論構築と実世界適用
Project/Area Number |
19K20371
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
室岡 雅樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (70825017)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロボット動作生成 / 最適化 / Multi-posture IK |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度から,研究代表者は所属機関を東京大学から産業技術総合研究所へ移し,引き続き予定された研究を継続している.まず,所属ラボで長期に渡り開発・整備されているロボットモデリング・動作生成・シミュレーション環境を最大限活用することが,ロボットの動作と身体構造の同時探索を目指す本研究課題に有効であると考え,それらのソフトウェア基盤の実装を理解し,ロボットバランス制御における物体操作時の手先接触力対応の拡張実装を通じて,ソフトウェアを本研究のために拡張する手順を習得した.次に,昨年度までに実装した,時系列のロボット姿勢を把持位置や接触位置等の時間変化しない位置制約や隣接時刻間の姿勢の距離制約を考慮したロボット運動生成プログラム(Multi-posture IK)を,所属ラボのソフトウェアシステムをベースとして実装しなおし,正しい結果が得られることを確認した.実装言語について,移植前はスクリプト言語のEusLispであったのに対し,移植後はC++になり,計算速度が飛躍的に向上したことが確認された.また,新しい実装では,独自のロボットモデル変換を必要とせずROS (Robot Operating System)で標準使用されているモデリング記述フォーマットURDFで表現されたロボットモデルを直接ロードできることから,様々なオープンモデルロボットの導入が容易になったという利点も得られた.さらに,EusLisp実装時のように独自の3D描画実装に依存する必要がないように,ROS標準のビジュアリゼーションツールであるRvizで,Multi-posture IKで得られたロボット時系列姿勢を描画するプラグインを実装した.最後に,Multi-posture IKを活用して,ロボットがバランスを維持するための重心マージンを最大化しながらリーチング動作等を生成できる運動生成法の拡張を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で予定されていた内容にロボット運動生成技術の側面から取り組み,Multi-posture IKライブラリの新規ソフトウェア基盤上での実装による大幅な高速化や生成された動作結果の汎用的な三次元可視化プラグインによる生成動作の検証を通じて,おおむね予定された進捗を得られていると考える.研究代表者の所属が東京大学から産業技術総合研究所へ移り,テレワークが奨励される社会情勢のもとで研究環境に変化があったものの,他のメンバからロボットソフトウェアライブラリ実装や多点接触生成技術の知見を得ることで,効果的に研究を推進している.また,本研究課題で開発されたロボット時系列姿勢の可視化プラグインは,本研究のみならず,所属ラボ内のヒューマノイド多点接触運動をテーマとする他のメンバの科研費研究においても利用されており,ソフトウェア共通化による双方向の相乗効果が生み出されている.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,開発したMulti-posture IKライブラリを拡張し,ロボットの身体変数を設計変数に含めた動作最適化技術を開発する.ロボットの身体変数は動作中に変化しないパラメータとして表現されるが,既に,動作中のロボットの重心位置を固定値で拘束するような問題に対する実装手法の有効性が確認されており,理論的な検証は概ね完了している.さらに,L1ノルム最適化によるスパース最適化を導入することで関節数を低減する等のチャレンジングな課題にも取り組み,本手法の適用範囲を最大限広げるように研究を推進する.動作生成におけるロボットの目標タスクはエンドエフェクタ等の軌道として表現するが,研究ラボ内のモーションキャプチャ等の設備や人間計測を行っている他のメンバのもつ知見を適宜取り入れながら研究を進める.
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Causes of Carryover |
令和2年度は,研究代表者が所属機関を東京大学から産業技術総合研究所へ移したことと,新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワーク等で労働環境が制約されたこと二点から,一部の物品調達や学会発表を見送り,それらに掛かる研究費が次年度使用額となった.安定した研究環境が整いつつある令和3年度は,当初予定されていた物品調達や学会発表を行い,繰り越した研究費を使用する.
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