2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞に学ぶ環境の違いを感知する応答ネットワークの網羅的解析
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19K20382
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤井 雅史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (30725750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生命システムの情報伝達 / シミュレーション / ネットワーク / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、自発的なネットワーク構造を形成するシステムの情報伝達について研究した。 各要素の状態に応じて要素間の結合が変化する多素子離散力学系について、要素間同期に依存した接続の変化により形成される自己組織化された有効ネットワーク構造の形態を包括的に研究した。パラメータ値に基づき、ペア駆動型ネットワーク、ループ駆動型ネットワーク、隠れトリオ駆動型ネットワーク、隠れコミュニティ駆動型ネットワークと名付けられた4種類の方向性のある階層的ネットワークが自発的に形成されることが観測された。本研究は、神経回路網や他の様々な生物学的ネットワーク、社会的ネットワークにおいて形成される自己組織化複雑ネットワークに対する新しい知見を提供するものである(Nakanishi et al. J. Phys. Soc. Jpn (2022))。 また、これらの研究成果がベースとなり、他の数値計算手法のブラッシュアップにもつながっており、成果が多分野に波及している(Fujita et al. npj Syst. Biol. Appl. (2022)、Watanabe et al. Genes to Cells (2022)、Nakahata et al. Biophys. PhysicoBiol. (2022)など)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも示したとおり、動的な構造変化に伴う自発的なネットワーク形成の多様性および生体内での情報伝達・ネットワーク構造の両面から、本研究の目的である様々な生化学反応ネットワークの情報伝達特性の解明に向けて順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
自発的なネットワーク構造形成と情報伝達特性の関連においては順調に進んでおり、また、実際の生命システムにおける実効的なネットワーク特性についても成果が出始めている。最終年度ではネットワークの進化について、これまで得られた結果も踏まえて包括的に議論し、成果をまとめる。また、得られた成果は随時学会や論文誌において発表し、議論しながら進めていく。
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Causes of Carryover |
ソフトウェア契約が令和4年度にズレ込んだため。 また、成果発表費用が新型コロナウイルス拡大のために令和4年度にズレ込んだため。 いずれも令和4年度に使用予定。
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Research Products
(18 results)