2019 Fiscal Year Research-status Report
マルチモーダル学習活動情報を用いた教科書難易度推定に基づく教科書改善システム
Project/Area Number |
19K20421
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
峰松 翼 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (00838914)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ラーニングアナリティクス / デジタル教科書 / マルチモーダルデータ / 視線分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
学生にとって教科書のわかりにくい箇所を表示し,改善箇所の提示ができれば,よりわかりやすい教科書へ改善する際に教育者への手助けとなることが期待できる.本研究では,学習者の学習活動をデジタル教科書システムやセンサ類で自動的にセンシングし,教科書難易度推定に基づく教科書改善システムの研究開発を行う.本年度は,教科書のページ内の学習行動に着目するために,教科書を読んでいる学生の視線の動きと学生が教科書に残したマーカを難易度に関連付けて分析した. (1)学生の視線とページ難易度の分析 学生の視線の動きから学生が難しいと感じているページの領域を抽出できるかを検討するために,ページを読んでいる学生の視線の動きと学生が感じているページの難易度の関係を深層学習によって分析した.その分析結果は,学生が難しいと感じている可能性の高い領域を視線から抽出できることを示唆した.当該研究成果はCELDA2019にて報告した. (2)学生の視線とマーカの分析 近年,デジタル学習環境システムを用いることで,多くの学生を対象としてデジタル教科書のリーディングログ(どのように教科書を読んでいるかを示すデータ)を収集できる,本研究では,学生が難しいと感じた際にマーカを記述できる機能を有するデジタル教科書を利用しており,視線データとマーカの異なるデータを統合して利用できるかの検討を行った.(1)の成果であるページ内難易度推定手法による学生が難しいと感じている領域と学生がページ内に残したマーカの関係性を分析した.その結果,学生が難しいと感じているページでは,ページ内難易度推定手法による検出領域と学生がつけたマーカ領域が類似する結果が得られ,これらを同時に用いることで教科書改善システムの精度を改善できることが示唆された.当該研究成果はLAK20にて報告した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度,提案したページ内難易度推定手法によって,本研究の第一の目標である教科書のページ内のどこで難しいと学生が感じているかの可視化を行う手法の一部を達成したと考える.また,現在までに,視線データ以外のデータとしてマーカの分析を行っており,マルチモーダルなデータの関係性を検討できるに至っている.デジタル学習環境を対象として,学生の学習活動を教科書読書中の視線の動きと学生が残すマーカの両面から分析を行い,各分析結果を学会において報告した. 開発した視線分析手法を様々な学習コンテンツに適用および,その解析のために,視線データの追加収集実験を予定していたが,コロナウィルスの影響で難航することが予想される.そこで,視線データ以外でデジタル学習環境から収集可能な複数のマルチモーダルなデータに対する分析を予定している. 以上に基づき上記の自己点検による評価を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
視線データやマーカから,ページ内の難しい内容を含む領域の特定に関する検討は進んでいるが,相対的にどこが最も難しいのかを順序づけて提示する方法は確立されていない.今後の研究課題として,学生が難しいと感じているコンテンツを抜き出す手法を提案し,本年度提案したページ内難易度推定手法と組み合わせ,教科書改善システムとして完成度を高める必要がある.具体的に,デジタル学習環境を用いる授業から大量に収集されるログデータによる難解なページ抽出手法を提案する. また,ページ内難易度推定手法の精度向上を行うことが研究課題としてあげられるが,新たな教材のための視線収集の実験はコロナウィルスの影響をうけることが予想される.今後の状況をにらみつつ,視線データ収集の準備を並行して進めておく.
|
Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で,参加予定であった研究会が中止となったため,次年度使用額が生じた.今回,情報収集として参加予定であった研究会参加費として利用する予定である.
|