2019 Fiscal Year Research-status Report
思春期前のリン系難燃剤・フタル酸エステルの複合曝露による第二次性徴発来への影響
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19K20457
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フタル酸エステル類 / 難燃剤 / 第二次性徴 / コーホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期前のフタル酸エステル類およびリン酸トリエステル類の曝露による第二次性徴発来への影響を明らかにするため、北海道スタディのコーホートの参加者へ第二次性徴に関する調査票(11歳)1,365件、小学校の学校健診記録から転記する身長体重調査票(12歳)1,343件を発送した。回収数は11歳691件(回収率50.6%)、12歳532件(回収率39.6%)であった。 思春期前の環境化学物質の曝露評価として、7歳の時に回収し冷凍保存している児の尿検体よりフタル酸エステル類代謝物10化合物の尿中代謝物濃度をLC-MS/MSで測定した。DiNPの代謝物(MiNP, OH-MiNP, cx-MiNP)について再定量の必要性が不可欠であることが示唆されたため、これまで測定した全ての検体について再定量を実施した。その結果、中央値濃度(検出率)がMiNP 0.1ng/mL(18.1%), OH-MiNP 0.1ng/mL(33.6%), cx-MiNP 1.6ng/mL(75.8%)からMiNP 0.6ng/mL(94.6%), OH-MiNP 3.0ng/mL(93.1%), cx-MiNP 2.0ng/mL(96.9%)へと増加した。また、複数の分析機関が同一試料を用いて測定するラウンドロビン試験(GEQUAS-RV64)に参加し、フタル酸エステル類の尿中代謝物7化合物(MiBP, MnBP, MBzP, MEHP, MEOHP, MEHHP, MECPP)の測定結果の妥当性を検証した。MnBPとMECPP以外の項目全てについて許容範囲内であることが証明された。その後、MnBPとMECPPのデータを見直したところ、この2化合物についても許容範囲内であることが確認できた。 今後も引き続き同定量法でのフタル酸エステル類測定を継続するとともに、リン酸トリエステル類の曝露評価も進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二次性徴のアウトカムを評価する質問票の発送回収は概ね計画通りに進んでいる。 7歳の尿を用いたフタル酸エステル類代謝物の分析について、定量法の標準化を目的とした再定量が必要であるかどうかを一部の代謝物について検討した。その結果、再定量が必要不可欠であることが示唆されたため、再定量を実施した。再定量の作業が加わったことで当初の計画より時間を要したが、2019年度中にある程度見通しがついたため、2020年度からは計画通り分析が進む見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き第二次性徴および身長体重の質問票の発送および回収、尿検体の回収を継続する。 7歳の尿中フタル酸エステル類代謝物の分析は、2019年度に確定した定量法にて引き続き実施し、2020年度中に終了させる。また、リン酸トリエステル類の尿中代謝物分析は、2019年度に申請した国際共同研究強化(A)が採択されたため、渡航先のアントワープ大学で2021年以降実施する計画である。7歳の尿を用いたフタル酸エステル類とリン酸トリエステル類の曝露評価および質問票の第二次性徴に関する情報を用い、最終的には、思春期前のフタル酸エステル類およびリン酸トリエステル類の複合曝露による第二次性徴発来への影響についてリスク評価を行う。
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Causes of Carryover |
フタル酸エステル類の尿中代謝物分析において、一部の化合物の再定量が必要になったため、分析を一時中断し再定量作業に時間を要したため、当初計画していた分析に用いる分析カラムやその他の消耗品などの経費を支出しなかった。そのため当該経費を次年度に持ち越す予定である。
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Research Products
(13 results)