2020 Fiscal Year Research-status Report
思春期前のリン系難燃剤・フタル酸エステルの複合曝露による第二次性徴発来への影響
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19K20457
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フタル酸エステル / リン酸トリエステル / フタル酸エルテル代替化合物 / 二次性徴 / 複合曝露 / 可塑剤難燃剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期前のフタル酸エステル類およびリン酸トリエステル類の曝露による第二次性徴発来への影響を明らかにするため、北海道スタディのコーホートの参加者へ第二次性徴に関する調査票(11歳) 1,279件、小学校の学校健診記録から転記する身長体重調査票(12歳)1,352件を発送した。回収数は11歳761件(回収率59%)、12歳481件(回収率36%)であった。 思春期前の環境化学物質の曝露評価として、7歳の時に回収し冷凍保存している児の尿430検体について、フタル酸エステル類代謝物10化合物の分析を完了した。今年度は新たにフタル酸エステル類の代替化合物DINCH, DEHTP, DPHP, DEHAの尿中代謝物12化合物一斉分析法をLC-MS/MSにて確立した。対象化合物のLOQは0.1-0.4ng/mL、回収率は5HO-MEHAおよびMEHTP以外は 80-120%の範囲内であり、良好な回収率であった。5HO-MEHAおよびMEHTPの回収率は63%、42%と低く、化合物の固相抽出(Oasis MAX)への適応性およびこれらの化合物には内標準物質がないことが回収率低下の要因として考えられた。予備検討として小学生の尿よりフタル酸代替化合物の12代謝物を測定し、DINCH代謝物について、子どもを対象とした先行研究との濃度比較を行った。OH-MINCHはドイツ、ポルトガル、ノルウェーの報告値より低く、米国よりは高かった。cx-MINCHはドイツ、ポルトガルより低く、日本の児童のDINCH曝露濃度は欧州と比較し低い可能性が示唆されたが、本結果は予備検討であるため、今後本分析による検討を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第二次性徴のアウトカムを評価する質問票の発送回収は概ね計画通りに進んでいる。 7歳の尿中フタル酸エステル類代謝物の分析は、2019年度に確定した定量法にて引き続き実施し、2020年度に完了した。現在は、測定済みの430検体のデータの整理を行っている。リン酸トリエステル類430検体の尿中代謝物分析は、2021年度中に国際共同研究強化(A)で渡航先のアントワープ大学で分析開始の計画であるが、新型コロナ感染症の影響による渡航の見通しが立たず、現在は中断しているため、進捗がやや遅れているとした。渡航可能になるまでの期間に2020年度に新たに確立したフタル酸エステル類代替化合物12代謝物の分析法を用い、430検体の測定を継続することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き第二次性徴および身長体重の質問票の発送および回収、尿検体の回収を継続する。 7歳の尿中フタル酸エステル類代謝物の分析は、2019年度に確定した定量法にて引き続き分析を継続し、2020年度に終了した。また、リン酸トリエステル類の尿中代謝物分析は、国際共同研究強化(A)で、渡航先のアントワープ大学で2021年以降実施する計画であるが、新型コロナ感染症の影響による渡航の見通しが立たず、現在中断している。渡航が可能になるまでの間に、2020年度に分析が完了したフタル酸エステル類10代謝物の430件についてデータの整理を行うとともに、同430検体について、新たに確立したフタル酸エステル類代替化合物12代謝物の一斉分析を実施する。 最終的には7歳の尿を用いたフタル酸エステル類、フタル酸エステル代替化合物、リン酸トリエステル類の曝露濃度と調査票から評価した第二次性徴との関連を解析し、思春期前の環境化学物質複合曝露による第二次性徴発来への影響についてリスク評価を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる国内外の学会がすべてオンラインでの開催となったため、旅費の支出がなかった。 加えて、今年度はリン酸トリエステル類分析の条件検討に物品費を執行予定であったが、新型コロナウイルス感染症による渡航の見通しが立たないため、条件検討を次年度に持ち越しすこととしたため。
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Research Products
(4 results)