2020 Fiscal Year Research-status Report
Biomonitoring and risk assessment of human health for Neonicotinoid insecticides using human urine
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19K20465
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
本田 匡人 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (80785791)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒトバイオモニタリング / ネオニコチノイド系農薬 / 健康影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネオニコチノイド系農薬のヒトでの汚染状況の調査と健康への影響を評価するため、2018年度から引き続いて国内4ヶ所からヒト尿検体を収集し、尿中のネオニコチノイド系農薬および代謝産物の濃度分析と暴露経路の推定などを行った。 国内3ヶ所(石川県・新潟県・福岡県)から2019年1-3月に計109検体のヒト尿を収集し、農薬および代謝産物の尿中濃度を測定した。その結果、Acetamipridの代謝産物であるAcetamiprid-N-desmethyl (N-DMA)が最も高頻度で検出され、それに続いてThiamethoxam (THX)が高頻度で検出された。3県間で総濃度・THX濃度・N-DMA濃度のそれぞれで比較を行い、新潟県>福岡県>石川県の順で濃度が高い傾向が見られたが有意な差は検出されなかった。アンケート調査の結果、野菜を摂取する傾向が高いほど尿中濃度が増加する有意な傾向が検出された。第1回の尿検体収集時期は農閑期にあたると考えられ、そのため当初より予想されていたように食物(特に農産物)からの暴露が、本農薬種の人体への主要な移行経路であることが示唆された。飲酒の傾向が高い場合には尿中農薬濃度が低い傾向が観察されたが、これは飲酒により尿量が増加することによる希釈効果であると考えられた。 また第1回の尿検体収集に続いて、第2回(2019年8-10月、計112検体)および第3回(2020年7-9月、計108検体)を収集した。今後も継続して検体の分析およびアンケート情報などとの比較解析を実施し、季節的変動を含めた国内における汚染実態の解明を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1回の検体収集として、国内3ヶ所(石川県・新潟県・福岡県)から2019年1-3月にかけて計109検体のヒト尿(年齢幅22-69歳:男性86名,女性23名)を収集し、同時に暴露経路を推定するための食生活などのアンケート調査を行った。得られた検体の分析において、Acetamipridの代謝産物であるAcetamiprid-N-desmethyl (N-DMA)が最も高頻度で検出され、それに続いてThiamethoxam が良く検出されるなど、第1回の検体に関しては順調に分析を行えた。 また検体収集も継続して行えており、第2回(2019年8-10月、計112検体)および第3回(2020年7-9月、計108検体)を収集した。 しかしながらCovid-19の影響により分析機器の利用に制限がかかり、かつ共同研究者であるアメリカ・ニューヨーク大学のK. Kannan教授の研究室にもバイオマーカーの分析のための訪問が出来ない状況が発生している。 これらの状況を受け、現在新規の分析機器の利用形態を策定しており、学内の共用機器の利用などにより状況を改善している。
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Strategy for Future Research Activity |
第2回(2019年8-10月、計112検体)および第3回(2020年7-9月、計108検体)の収集によって得た尿検体に関して、今後も継続して検体の分析およびアンケート情報などとの比較解析を実施していく予定である。また関連するバイオマーカーの分析に関しても、学外(Kannan研での分析など)または学内での分析を含め検討を行い、2021年度内の分析完了を目指す。また収集時期の違い(農閑期:第1回・第2回、農繁期:第3回)による暴露経路の差異を検討し、季節的変動を含む国内における農薬の暴露実態の解明を進めていく。 また2021年度より本研究の一部を研究室所属学生の卒業研究とすることで、一層の研究の加速を図っている。
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Causes of Carryover |
初年度から継続して計上していた遠心分離機のリース代金(月額34020円)を、2020年度2月までとしていたが、誤って3月分まで入力してしまい結果使用されずに次年度への繰り越しとなった。繰り越し分は2021年度の消耗品費として試薬などの購入に使用する予定である。
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