2020 Fiscal Year Research-status Report
Mangrove utilization and livelihood selection in post-industrial society: A comparative study on Batam and Iriomote
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19K20524
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渕上 ゆかり 大阪大学, 工学研究科, 特任助教(常勤) (70712834)
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Project Period (FY) |
2019-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | マングローブ / エコツーリズム / 利用手法 / 生業 / 観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シンガポールと日本本土という高度経済圏に組み込まれているインドネシア・バタム島と沖縄県西表島を対象に、マングローブの直接利用の衰退とツーリズムとしての間接利用の進出経緯を時系列に沿って整理および比較検討し、地域における利用手法の取捨選択要因を明らかにすることで、「利用を通じた資源管理」に必要な条件を明らかにすることを目的としている。また、合わせて近隣の諸地域における利用変遷事例を収集し、国境や地域を超えた利用の伝播状況や利用歴の変化の相似性を分析・分類することは、各地域固有の条件を考慮したビジョンを描き、それを実現するための資源利用シナリオを描くための有効な手段とすることを目指す。 今年度は社会状況の関係で現地調査を実施することが出来なかったため、対象地域である八重山諸島(沖縄県)を中心に、沖縄全土、鹿児島県南部に生育するマングローブ植生域をまとめ、各地域における先行研究の収集を行った。先行研究は沖縄本島、石垣島、西表島などの面積の大きいマングローブ林に集中しており、また生態学的な研究が大半である。それは現在の日本においてマングローブの利用が一般的ではない(規制されている)ためであり、社会学的な研究としては過去の利用形態をまとめた程度となっている。エコツーリズムの場としての利用は盛んにおこなわれているが、その影響を調べた研究はほとんどなく、多くは官公庁の資料としてであった。変遷の詳細な条件・要因は各島の島史毎に異なっており、一般化するための指標が「年代」という大きなものしか現状存在していない。今後はより具体的な変遷要因を明示できる指標を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現地でのフィールドワークを主な研究手法として位置付けていたため、現在のコロナ禍では予定していた調査が実施できなくなった。次年度に現地調査を振り替えて研究計画を組み替えたが、離島という医療体制が脆弱な地域が調査地であることからも、すぐに現地調査を開始する判断ができない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍での離島(医療体制が脆弱な地域)調査は、すぐに再開することが難しい。今年度は文献収集と共に、下記の2点の調査を検討している。 ①オンラインでのアンケート調査を実施することで、コロナ禍での社会状況の変化を加味したうえでの、島の生業に関する島外の意識を調査する ②「フューチャー・デザイン」の視点を用い、世界自然遺産への登録を目指す同地域に対しての持続可能な未来形成手法を明らかにする
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Causes of Carryover |
コロナ禍における現地調査の自粛によって、今年度の旅費が次年度に振替となった。 次年度も調査に行ける社会状況になるかが不透明であるので、オンラインアンケート調査に調査方法を切り替える。
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