2019 Fiscal Year Research-status Report
Muslimah's outfit in conservatizing Islamic Society in Indonesia
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19K20550
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野中 葉 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (70648691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イスラーム / ムスリマ / ヴェール / 服装 / 女性 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「保守化」している評される昨今のインドネシアのイスラーム社会における女性たちの装いに着目し、当事者へのインタビュー、テキスト分析、悉皆調査を用いて、女性たちのミクロな語りとその背後にある言説、そして全体像を明らかにすることにある。4年間で実施する研究内容として、A) 首都ジャカルタと地方都市マカッサルの大学生と住民の女性たちを対象に、装いに関する悉皆的調査、B)ニカーブ着用者およびヴェール非着用者への聴き取り調査、語りの分析C)装いの選択や実践を支えるイスラーム的言説分析と設定した。 研究1年目の2019年度は、2019年8月・9月と2020年2月の現地調査を実施し、ジャカルタとマカッサルにて、大学生へのアンケート調査の実施、ニカーブ着用者へのインタビューや勉強会の参加、説教師へのインタビューやSocial Mediaの映像や投稿に関するテキスト・言説分析などを実施した。本研究課題に関連する今年度の研究実績は以下の通り。いずれも研究成果発表。 ・Wearing niqab as proof of hijrah among urban muslimah in Indonesia, @Annual International Conference on Islamic Studies 2019, Oct 2, 2019 ・(Invited) Beyond the veiling;the trend of muslim fashion in Indonesia, International conference: “Halal as a way of life” @ EHESS Paris, Sep 6, 2019. ・「現代インドネシア社会におけるニカーブ着用現象」第35回日本中東学会年次大会、於:秋田大学、2019年5月12日
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に記したA~Cまでの3つの項目に関し、研究計画書の記載に沿って研究はおおむね順調に進んでいる。研究計画書では、2019年度には、Aの調査準備と予備調査、Bのインタビュー実施とテープ起こし、Cの分析対象媒体選定、言説分析開始、また研究全体として文献調査と理論的枠組み構築を予定していた。2019年8月と9月、および2020年2月に現地調査を実施し、ジャカルタのインドネシア大学およびマカッサルのハサヌディン大学の日本語学科のムスリマ計62人に対し、服装とライフスタイルに関するアンケート調査を実施した(上記Aに関連)。また、ニカーブ着用者に関するインタビューや彼女たちの勉強会への参加、ニカーブ着用者および「保守的」ムスリマが傾倒するとされているサラフィー系宗教説教師へのインタビューなどを行った(上記Bに関連)。さらに説教師の説教やSocial Mediaの投稿を取り上げ、彼らの言説を分析した(上記Cに関連)。国内外で学会・国際会議発表も複数行って、研究の中間的な発表を行い、さらに、ニカーブ着用に関する研究成果は、英語論文にまとめジャーナルSoutheast Asian Studiesに投稿を終えたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、研究計画書に記した内容に沿って、研究を進めていきたい。 Aに関しては、現在、62人に実施したアンケート結果を整理、分析しているところである。まとまった成果が出れば、発表に向けて準備を進める。一方、大学生以外の層に対する装いライフスタイル調査の実施は、今年度の課題である。ジャカルタの路地裏居住地域(カンプン)の一区画、マカッサルの民間企業の一オフィスでの実施を検討しているが、詳細な実施内容も含め、今後検討をしていきたい。 ニカーブ着用に関するBおよびCの内容に関しては、ここまでの成果を英語論文にまとめ、原稿をジャーナルに投稿したところである。今年はその原稿の手直し、必要に応じて追加調査を行って、出版を目指す。 さらに本研究を、インドネシアのイスラーム研究や女性研究などの中に、どのように位置づけていくのか、関連文献を調査し、理論的枠組みを構築していきたい。 今年度は、コロナウィルスの世界的拡大に伴い、発表予定の学会が中止となったり、現地調査を行うことが困難な状況が続くかもしれない。状況を的確に把握し、健康と安全を維持しながら、調査に出られない場合には文献調査に注力するなど、出来ることから研究を進めたいと考えている。
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Research Products
(4 results)