2019 Fiscal Year Research-status Report
Holistic Appraisal of Environmental Change and Resilience of Tourism Resources in Mountainous Regions
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19K20567
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 山岳環境 / 自然変化 / レジリアンス / 完新世 / 人新世 / 動的景観 / アルパイン・ツーリズム / 自然保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度において、北アルプス地域を中心に、ランドスケープ調査、聞き取り、アンケート調査を実施した。ランドスケープ調査において、上高地、槍ヶ岳ー穂高岳、奥黒部地域(黒部源流ー雲ノ平ー黒部五郎岳)、立山黒部アルペンルート付近および薬師岳周辺の調査を実施した。この調査から、火山性の地質、氷河期に特徴づけられた地形および、最終氷河期以降(完新世)の地形について情報を整理し、それぞれのランドスケープの変化およびレジリアンスの特徴について分析した。 聞き取り調査において、山小屋関係者や登山者に取材し、それぞれの地域における人的特徴について情報を収集し、分析を行った。 アンケート調査では、それぞれの地域の山小屋において登山者を対象にアンケート調査を実施した。2019年12月から 2020年2月にかけて、アンケート調査のデータを分析し、論文を作成した。アンケート分析を、上高地地域の事例および北アルプス全体の分析に分けており、2020年3月末現在、上高地地域の分析結果はすでに学術論文として掲載済である。本論文では、動的自然景観として上高地の地質性、地形的プロセス、生態系的特徴に焦点を当て、現在の山岳地域観光の課題について論じた。本論文は、日本の山岳地域に関した英語論文が少ない中、重要な学術的貢献であることが査読者から認められた。 また、2019年9月に掲載された論文では、世界各地の山岳地域の現状を分析し、「脆弱な場所」として山岳地域の特徴について論じた。本論文は後日スイスのMountain Research Initiative のホームページで紹介され、これまで複数名の研究者から高評価をいただいている。 なお、掲載された論文のいずれも、国際査読付論文であり、単著である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、想定していたランドスケープ調査、聞き取り、アンケート調査の各項目を実施することができた。 なお、北アルプスの現場を以前想定していたよりも深く調べることになったので、当初予定していた大雪山地域の調査を来年度に行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、北アルプス地域における調査を継続して実施しながら、大雪山地域においてもランドスケープ調査、聞き取りや、一部の場所ではアンケートを実施する予定であるが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け「異常時期」となっており、現場における多くの施設が閉鎖されていることから、今後社会状況に応じて調査を変更する可能性があるように認識している。
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Causes of Carryover |
本年度の調査は、北アルプス地域中心で実施したため、大雪山地域の調査を来年度に行うように調整した。そのため未使用額が生じており、次年度の現地調査で使用することを予定している。
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Research Products
(7 results)