2019 Fiscal Year Research-status Report
Polarimetric neutron spin echo spectroscopy for the study of magnetic relaxation mechanism
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19K20601
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 達郎 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (70782308)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中性子散乱 / 中性子スピンエコー / 偏極中性子 / 磁性ナノ粒子 / 磁気緩和現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,中性子スピンエコー分光法とスピン偏極解析を組み合わせることで,磁性に関する異なる運動モードを識別したダイナミクス分光手法を確立することである.具体的には,酸化鉄ナノ粒子分散溶液(磁性流体)における磁気緩和を対象に,スピンフリップ散乱と核散乱を分離したスピンエコー測定によるダイナミクス解析を行う. 時間振動型スピンエコー分光法の原理的な特長を活かし,その新たな応用と高度化を目指している. 本年度では,溶媒を重水置換した酸化鉄粒子分散溶液に対し,小角散乱の測定体系で偏極解析中性子スピンエコー実験を試験的に行うことができた.中性子ビームを利用した実験は,大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)にて行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偏極解析デバイスを備えた状態で,中性子スピンエコー測定を試験的に行うことができたので,実験における今後の課題が明らかになった.また,データ解析方法の確立に有用なデータを得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
偏極解析スピンエコー分光法の確立のために,解析に使用する基本式とデータ処理手順の整理が求められる.実験的には,強度の弱いスピンフリップ散乱で十分なスピンエコーシグナルを得るために,信号/ノイズ(S/N)比を改善する必要がある.そのために,バックグラウンドノイズを減らすための分光器の遮蔽や,散乱強度を増すための,試料セル形状・溶液濃度の最適化などの方策を検討している.
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Causes of Carryover |
購入予定だった実験機器の仕様性能の再検討が必要になったので,本年度に予定していた物品購入を次年度に行うことになった.
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Research Products
(6 results)