2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20645
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松田 勇祐 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10805120)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 奥行き知覚 / 両眼立体視 / 絵画的奥行き手がかり / 3D映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,枠効果と呼ばれる3D知覚特有の現象を調べている.枠効果とは,2D映像(静止画,動画)の奥もしくは手前に,枠を設置すると,2D映像から知覚される「奥行き感」が増加する現象である.この枠効果は,3D映像提示デバイスへの応用が可能であると考えられる.例えば,「3D映像を観察すると3D酔いをする」といった3D映像提示デバイスに関する諸問題を解決できる可能性がある. 本年度は「枠効果と絵画的奥行き手がかり(複数)の関係の把握」に関する研究を中心に行った.複数の絵画的奥行き手がかり(線遠近・テクスチャ勾配・陰影・遮蔽)を持つ2D刺激に枠を付与した場合の知覚される奥行き感を測定した.本年度とこれまでの実験結果から,枠効果は,ある特有の奥行き手がかり単独に働くというよりかは,個々の奥行き手がかりそれぞれに働くことが示唆された.つまり,多くの種類の奥行き手がかりを含む画像に対して,この現象はより大きな影響を与える可能性が高い.この事実は,実際に3D映像提示デバイスへ応用する場合に有用な知見になるだろう. これまでに行った研究は全て静止画で行っている.現在,3D映像提示デバイスの発達(特にヘッドマウントディスプレイの普及)により,3D映像を観察する機会が増加している.このため,視覚刺激を静止画から動画にして実験を行うことは必要不可欠であると考えられる.そこで今年度は「枠効果と動画内での絵画的奥行き手がかりの関係の把握」に関する研究を中心に行う予定である.この研究により,3D映像提示デバイスに応用する際の,さらなる知見が得られることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度,covid-19の影響で導入できなかった実験装置を取り入れることができ,実験を滞りなく行うことができた.その結果,当初から計画していた「枠効果と絵画的奥行き手がかり(複数)の関係の把握」に関する研究を行えた.このため,全体の進捗状況を「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究計画に大きな変更はない.しかし,covid-19の影響を考慮し,実験環境の半分程度をオンラインに移行する計画である.
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Causes of Carryover |
covid-19の影響により,一部納品が間に合わなかった実験装置,中止になった学会などがあったため.次年度では基本的には同じ用途として用いる予定である.
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