2020 Fiscal Year Research-status Report
McGurk効果の多様性の背景となる認知様式とその神経基盤の発達的検討
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19K20650
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
氏家 悠太 中京大学, 心理学研究科, 特別研究員(PD) (60781789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | McGurk効果 / 多様性 / 視聴覚統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、顔が関わる視聴覚統合であるマガーク効果と観察者の個人特性(自閉症傾向)との関連性から、マガーク効果の個人差に関わる観察者側の認知様式の多様性とその背景となる神経基盤を検討することを目的とする。 令和二年度は、マガーク効果の個人差の背景となる神経基盤について、昨年度に実施したfMRI実験のデータ解析を行い、マガーク課題を遂行中の脳活動と自閉症傾向(AQ)との関連性を検討した。行動実験では、マガーク効果の低下と自閉症傾向との関連が幾つかの研究で報告されていることから、この関連の背景に、錯覚の生起に関与する脳領域(左上側頭溝など)の活動量の違いがあることが想定できる。データ分析の結果、マガーク刺激観察中の左上側頭溝領域の活動量と自閉症傾向に負の相関があり、予測と一致して、自閉症傾向が高い参加者では、低い参加者と比べ、錯覚の生起に関与する脳領域の活動量が低いことが示された。また、行動実験では、マガーク効果の低下と自閉症傾向との関連における、視覚的な発話運動情報の処理の影響について検討した。実験では、ルビンの壺を利用して、話者の発話シルエットによりマガーク効果を生起させる実験刺激を作成し、マガーク効果の強さを測定した。自閉症傾向を測定にはAQスコアを用いた。実験の結果、AQとマガーク効果の生起に負の相関がみられたことから、発話運動情報の処理の違いがマガーク効果の低下に関与する可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内のコロナ感染状況の影響により、予定していた眼球運動計測実験は延期したものの、行動実験(昨年度末から今年度にかけてデータ取得)やfMRIのデータ解析など、全体の進捗としては概ね計画通りに研究が進んでおり、また国際誌への論文発表など成果公表も行えているため、比較的順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度延期した眼球運動計測実験の実施を行う。得られた成果については速報も含め、成果発表を行う。一方で、国内の情勢により、実験実施が一定期間行えずデータ取得が滞る可能性も考慮し、オンライン実験なども活用して進める。
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Causes of Carryover |
成果公表として参加・発表を予定していた国際学会について、令和二年度の開催が急遽中止となったため、当初の予算に計上していた旅費分を次年度の使用に繰越しした。さらに、成果公表に伴う費用に関しても、国際誌に採択された時期が年度末となり掲載料の支払い時期が次年度になったため、計上していた論文掲載料を次年度使用に繰り越しした。
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Research Products
(12 results)