2018 Fiscal Year Annual Research Report
英語学習者のグラフィックオーガナイザー作成プロセス:概要理解を促す読解指導の提案
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18H05602
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
森 好紳 白鴎大学, 教育学部, 講師 (10824170)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / 英文読解 / 概要理解 / タスク / グラフィックオーガナイザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,日本人英語学習者が文章のグラフィックオーガナイザーを作成するプロセスを明らかにし,概要理解への効果を検証することである。グラフィックオーガナイザーは,文章中の情報やそれらのつながりを図式化したものであり,情報の選択や体制化への効果が期待される。 1年目は最初に,実験マテリアルの作成を行った。先行研究を精査し,文章全体の内容を要約した文,各パラグラフの内容を要約した文,詳細情報などで構成された説明文を実験テキストとして収集した。これらのテキストは語彙や構文を日本人英語学習者向けに改編し,英語教育を専門とする2名でテキスト情報の階層性が適切に反映されているかを確認した。また,英語教育を専門とする2名が先行研究のグラフィックオーガナイザーを基に実験テキストの概要を図式化し,協議を経てモデルを作成した。 次に,上記の実験マテリアルを用い,日本人英語学習者が作成したグラフィックオーガナイザーを採点する際の信頼性を検証した。実験では,日本人大学生がテキストを読解し,文章全体の要点,各パラグラフの要点,詳細情報の階層的なつながりを図式化した。これらのグラフィックオーガナイザーには,アイディアユニットごとによる採点と,先行研究から改編した分析的ルーブリックを用いた採点を行った。英語教育を専門とする2名が採点を行った結果,前者の採点方法に比べて後者の採点方法では評価者間信頼性が低くなる傾向が見られた。また,ルーブリックの採点では観点によって評価者間信頼性が異なり,特にテキスト情報のつながりに関しては低くなる傾向が見られた。 本実験は小規模なケーススタディであったものの,以上の結果はグラフィックオーガナイザーを採点する方法や観点が評価の信頼性に影響を与える可能性を示唆しており,グラフィックオーガナイザー作成による効果を検証していく上で重要な結果だと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の計画通り,先行研究から実験マテリアルを作成して妥当性の確認を行うとともに,英語学習者が作成したグラフィックオーガナイザーを採点する際の信頼性を検証する実験を実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフィックオーガナイザーを採点する際の信頼性に関し,本年度の研究から得られた示唆を詳細に検証するため,より多くの日本人英語学習者を対象とした実験を行う。また,その結果を基に,グラフィックオーガナイザー作成プロセスや概要理解に対する教育的効果を検証する実験を行い,それまでに得られた成果に関する学会発表や論文投稿を行う。
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