2020 Fiscal Year Research-status Report
英語学習者のグラフィックオーガナイザー作成プロセス:概要理解を促す読解指導の提案
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19K20809
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
森 好紳 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (10824170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英語教育 / 英文読解 / 概要理解 / タスク / グラフィックオーガナイザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,日本人英語学習者による文章の読解において,テキスト情報とその関係を図式化したグラフィックオーガナイザーを作成するプロセスと,概要理解への影響を検証することを目的としている。 2019年度の実験実施を受け,2020年度は学習者が作成したグラフィックオーガナイザーの採点と評価者間信頼性を分析した。研究代表者を含む3名が学習者の解答をグラフィックオーガナイザーのモデルと比較し,改編を加えたルーブリックで次の観点から採点した:(a)構造がどの程度反映されているか,(b)情報がどの程度カバーされているか,(c)下位の情報を包含する要点がどの程度産出されているか,(d)詳細情報がどの程度産出されているか,(e)どの程度の項目が適切な情報量で産出されているか,(f)情報間の関係がどの程度反映されているか。改編としては第一に,グラフィックオーガナイザーに産出された各項目の情報量に関する観点を設けた。改編前の詳細情報に関する観点には,産出された内容と情報量(産出された各項目の情報量が多すぎないか)の要素が含まれていたため,情報量を評価する観点を独立させ,観点の評価対象をより明確にした。第二に,ルーブリックにおける表現の曖昧さが,評価者間の判断の差異につながると考えられるため,数値的な分類を取り入れた。例えば,観点(b)では,学習者の解答がモデルの情報をカバーしている割合で評価した。また,当初はアイディアユニット産出による採点も予定していたが,観点(b)を数値的な分類にしたことに伴い,採点方法はルーブリックに一本化した。以上を踏まえ,ルーブリック評価の評価者間信頼性を算出したところ観点によって異なり,特に(e)の情報量の観点で低くなる傾向が見られた。この結果は,学習者が作成したグラフィックオーガナイザーを評価するにあたり,信頼性の低下を防止する方法を検討する上で重要だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は,2019年度の実験で学習者が作成したグラフィックオーガナイザーの採点,および評価者間信頼性のデータ分析を実施した。しかし,新型コロナウィルス感染拡大への対応に伴い,グラフィックオーガナイザーの作成プロセスと概要理解への効果を検証する実験の実施は見送り,補助事業期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフィックオーガナイザーの評価者間信頼性に対するデータ分析の結果は,今年度に開催される学会で発表するとともに,論文執筆を行う。また,グラフィックオーガナイザーの作成プロセスと概要理解への効果について,2020年度に実施を見送った実験を実施する予定である。実験の実施にあたっては,新型コロナウィルスの感染状況に応じ,オンラインツールの使用も含めて,実施可能な方法を検討していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由として,2020年度は新たに実験を行うには至らなかったことがあげられる。また,2020年度は新型コロナウィルスの感染拡大により,参加を予定していた学会が中止,もしくはオンライン開催となり,旅費も生じなかった。次年度使用額は,実験の実施(協力者謝金など)や成果の発表(学会参加費や英文校正費など)に伴う費用に支出する予定である。
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Research Products
(1 results)