2019 Fiscal Year Research-status Report
日本語教育支援のための中学校社会科教科書の言語的困難点に関する基礎的研究
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19K20818
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
宮部 真由美 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, プロジェクトPDフェロー (60823383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 年少者の日本語 / 中学社会科教科書 / 語彙 / 文法 / 教科学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,外国籍の子どもなど日本語教育の支援を必要とする中学生が社会科教科書を読むためにどのような言語的な難しさがあるかを文法的な面を中心に研究するものである。中学校教科書の内容は子どもたちの身近な生活を離れたより広い社会・世界のことが扱われ,その内容が書きことばの日本語で述べられる。そのため,教科書の日本語は彼らの初期日本語指導で学ぶ日常会話中心の日本語とは大きく異なっており,子どもたちが教科書を読んで教科内容を理解することには困難がある。本研究では日本語支援を必要とする中学生が教科内容を学習していくことを支援する日本語教材を作成するために,社会科教科書の言語面(特に,文法面)に関する研究を行なうものである。 言語面の分析を進めるため,教科書に書かれている内容をテキスト化し,形態素解析を通じて,語彙や文法に関するさまざまな分析を進める予定であるが,本年度は社会科教科書を扱う4出版社の教科書のテキスト化を終え,形態素解析を行ったうえで,語彙や文法の特徴に関しての分析を進めているところである。他方,分析や考察を進めるうえでの示唆を得るため,日本語指導者や社会科教科を担当する教員へのヒアリングを行うことを年度末に予定していたが,社会情勢の影響で実施がかなわなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度からやや遅れ気味であったが,本年度は父母の入院・介護のため,田舎へ帰省することが重なり,十分に調査・分析する時間を確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
社会科教科書の日本語面(語彙,文法)の分析を進め,具体的な特徴を取り出し,日本語支援を必要とする中学生にとってどのような点が困難であるのかを明らかにし,そうした中学生に指導する際にどのような点に目を配ればいいのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2018度の分析データの整備が遅れていたことから,繰越申請を行なった。繰越申請のおかげで分析データは整った。本年度(2019年度)は父が春に体調を崩し6月に入院したこと(3月1日に亡くなった),母は自宅で暮らしているが,父の入院前から認知症のためヘルパーとデイケアの支援を受けていたことから,たびたび実家へ帰る必要があった。距離が離れていること(神奈川と徳島)からケアマネージャーとの相談・連絡が欠かせず,また父母ができない手続きを行なうためや父母に会うため,定期的に帰省しており,分析や論文執筆を進めるにあたり,十分な時間がとれなかったことから,延長申請を行った。 次年度では,本年度,社会情勢のため実施ができなかったヒアリングを行なうための謝金や旅費,分析結果をまとめるための謝金や印刷費に使う予定である。
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