2019 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代における日本列島とその周辺地域との関係性について
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19K20838
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
水ノ江 和同 同志社大学, 文学部, 教授 (10824568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 縄文文化 / 日本列島 / 朝鮮半島 / 極東ロシア / けつ状耳飾 / 擦切石斧 / 結合式釣針 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自性が極めて強い縄文文化の系譜や本質を解明しようとする場合、その出現 ・展開・終焉の要因を探ることが重要な研究課題となる。しかし、これまでは国内の膨大かつ多様な考古資料や遺跡情報に関する調査研究に終始したため、日本列島の周辺地域、特に極東ロシアや朝鮮半島の新石器文化との比較検討からそれを探ろうとする基礎的な研究が重要になるが、対象地が国外という事情もあり極東ロシアについてはほとんど進められてこなかった。 そこで、日本列島の縄文時代を代表する考古資料のうち、これまでその系譜が東アジアに求められるとされてきたけつ状耳飾・擦切石斧・結合式釣針について、実際に朝鮮半島と極東ロシアを訪問して現地調査を行った。その結果、けつ状耳飾については、年代的同時性や形態に類似性があり系譜関係は追えそうだが、擦切石斧については一見似ているが種類に大きな差があり直接的な系譜は追えそうにない。また結合式釣針については、朝鮮半島のそれとは年代や形態が異なり系譜関係は追えず、極東ロシアには存在しなかったことから、その系譜を求めることはできなかった。 以上のことから、日本列島の縄文時代の考古資料の多くは、日本列島の周辺地域との関係性を見出すことが難しいというのが今回の調査研究の結論である。今後の資料増加によって若干状況の変化はあるかもしれないが、日本では年間8,000件、韓国では年間900件の発掘調査が行われ多くの成果が毎年確認されていることから、さらに劇的に新しい成果・展開が望めない現状がある。したがって、日本列島以外に安易に系譜を求めるのではなく、今一度日本列島内の考古資料を再点検して、その系譜を探る必要があると考えられる。
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Research Products
(6 results)