2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H05712
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横山 芽衣子 千葉大学, 予防医学センター, 特任研究員 (00369159)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 介護予防 / 通いの場 / 地域づくり / 0次予防 / 社会環境の整備 / プログラム評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦では,社会参加を促すために地域づくりによる介護予防の一環として通いの場が拡大しており,社会環境を改善することで ,そこに暮らす全ての人々の健康維持と増進を図る0次予防が注目されている. 現在,通いの場の評価は個人レベルの評価が多く,ポピュレーション戦略に基づく地域レベルを考慮した分析は少ない.そこで,本研究では20万人超を対象とした縦断追跡調査を用いて,1)参加者がどのような通いの場のプログラムに参加しているのか,2)どのようなプログラムまたはプログラムの組合がその後の要介護認定を低下させるのか,を明らかにすることを目的としている. 本研究は,日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトのフィールドとデータを用いる.2016年のJAGES調査の横断データを用い,地域の通いの場 への参加割合および個人の通いの場への参加と,要介護リスクとの横断的な関連性およびその経路の解明に向けて、マルチレベル分析に取り組んでいる.1. 対象者の性や年齢を考慮 した上で,通いの場の参加頻度や参加歴を記述統計した.2. 要支援・要介護リスク得点の集計を行なった.3.通いの場のプログラムと要支援・要介護リスク得点との関連を個人および地域レベルで分析を実施した.説明変数には,地域レベルでは通いの場参加割合(市町村単位),個人レベルでは通いの場への参加(週1回以上,月1回以上),経路を解明す る変数は,SC指標の社会的サポート(手段・情緒の提供および受領が一つでも該当),社会的ネットワーク(友人と会う頻度, 週1,月1,年1回),運動頻度,孤食,野菜や果物の摂取頻度,調整変数は基本的属性である年齢,性別や,社会経済的要因で ある所得(等価所得),教育歴を用いた.現在は分析の途中であり、今後は論文投稿に向けて作業を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度に日本老年学的評価研究グループ(JAGES)が行った健康とくらしの調査の回答結果を使用した. 1)2016年横断データを用いた分析に着手した.対象者の性や年齢を考慮し,通いの場の参加歴と実践プログラムの分類を試みた.通いの場のプログラムは多岐にわたる.体操,手工芸などの創作活動,講話,世代間交流,音楽活動,お茶とおしゃべり,文化活動,脳トレーニング,室内ゲームに分類することとした.これらのプログラム分類に時間を要し,現在若干の検討余地を残すまで到達した.本研究では個人と地域の要因を併せて分析するマルチレベル分析を採用しているため,小地域の分類が必要となる.小学校区あたりでプログラムの分類を行うと,地域やプログラムの種類によっては100名以下となり分析が難しく,プログラムと地域を併せた分類を考慮すると,プログラムの種類を細分化できない問題点が生じた.これらの問題点を解決すべく,パターンをいくつも準備し,分析を繰り返し,上記のプログラム分類とした.更に,実際の通いの場は1種類のプログラムの実行だけではなく,数種類の組み合わせで成り立っている.その為,プログラムの組み合わせや参加回数を踏まえた分析を現在は実行中である.現在の9種類のプログラムの組み合わせのパターンがいくつも想定され,これらを準備し分析を繰り返している段階である.プログラムの組み合わせの分析にこれから時間を要すると考えているが,同時に論文投稿の準備を進め,分析終了後速やかに投稿できるよう配慮している. 2)1)の横断分析と同様に,2013年と2016年に行った同様のJAGES健康とくらしの調査の回答結果より縦断分析にも取り掛かっている.1)のプログラムの分類と組み合わせを利用して,要介護リスク低下または増加の原因に迫る分析を準備中である. 以上の結果,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
健康増進に寄与する通いの場のプログラム評価を個人および地域レベルで検討することを目的し,JAGESプロジェクトのフィールドとデータを用いる. 1)2013年と2016年に実施した健康とくらしの調査の回答結果より縦断データを作成する.縦断データを用い2013年(ベースライン)時点の地域の通いの場への参加割合および個人の通いの場への参加と,2016年の追加調査時までの要介護リスクの変化,新規要介護認定との関連性およびその経路を縦断研究のマルチレベル分析により検証する.目的変数は,追跡期間中の要介護認定,要介護リスク指標の変化(生活機能低下,運動機能低下,閉じこもり,認知機能低下),説明変数は,地域レベルでは通いの場参加割合(市町村単位,学区単位),個人レベルでは通いの場への参加(週1回以上,月1回定),経路を解明する変数は,ソーシャルキャピタル指標の社会的サポート(手段,情緒の提供および受領が一つでも該当),社会的ネットワーク(友人と会う頻度,週1,月1,年1回),運動頻度,孤食,野菜や果物の摂取頻度,調整変数は基本的属性である年齢,性別や社会経済的要因である所得(等価所得),教育歴を考えている.統計解析は,マルチレベル生存分析,マルチレベルポアソン回帰分析を行う.分析終了後は投稿準備を行う. 2)次年度(2019年度)はJAGESの健康とくらしの調査の実施年でもある.2019年度調査の結果を併せて,2013年度,2016年度,2019年度の3waveの縦断データの作成を予定している.3waveの縦断データを用いる事で,要介護リスクが受ける影響の原因の原因を追究する事が可能となる.次年度は,まず健康とくらしの調査を実施し,3waveのデータセットの作成までを予定している.
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