2019 Fiscal Year Annual Research Report
算数科における学習観促進による授業実践型相互教授の効果
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19K20978
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
町 岳 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80819293)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グループ学習 / 振り返り / 授業実践型相互教授 / 学び合い方略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,小学校の算数科グループ学習において,授業実践型相互教授(Reciprocal Teaching in Classroom; 以下RTC; 町,2015)により確認されている,思考深化への効果(町・中谷, 2014)に加え,主体的な学習への関与を促す授業デザインを開発することである。 都内公立小学校3年生の児童を対象に,算数科「小数」の単元の授業を5時間行い,対照群では,RTCの枠組みに基づき話し合いを行わせる一方,介入群では,それに加え,「自分たちの学び合いを振り返る意味や方法の提示」を行う。具体的には,「協力」,「視点取得」,「配慮行動」,「援助要請」,「援助提供」の学び合い方略に基づく5つの視点を提示し, グループ学習後に,振り返りカードを使って,自分たちの学習を振り返らせた。(対照群に対しては,実践後に自分たちの学び合いを振り返る意味や方法についての指導を行った。) 2つの教授方略の介入効果を,①5つの学び合い方略活用に対する自己効力感,②学業達成度,③グループ内発話の3点から検討した。①について,授業前後の質問紙調査の結果を比較したところ,「協力」,「配慮行動」,「援助要請」,「援助提供」について,介入効果が認められた。②について,授業毎の「ふりかえりテスト」を3段階で評価し,その割合を検討した結果,学習が進むにつれ,介入群のC評価が少なくなる可能性が示唆された。③について,グループ内発話のカテゴリー分析を行い,学び合い方略を活用して,友達に直接的・間接的に働きかける発話の出現率を検討したところ,授業後の介入群の間接的調整機能の発話の出現率が高いことが示された。これはRTCに加え,「自分たちの学び合いを振り返る意味や方法の提示」という,学び合い方に働きかけることで,児童が他者に対して,より思考促進的に働きかけるようになる可能性を示唆している。
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