2018 Fiscal Year Annual Research Report
ひきこもりの改善を目指した家族支援における認知行動療法的プロセス変数の包括的検討
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18H05819
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
野中 俊介 東京未来大学, こども心理学部, 講師 (90821736)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | ひきこもり / 家族 / 認知行動療法 / プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,ひきこもり状態からの改善を狙いとした先行研究を概観し,効果的な家族支援方略の1つであると考えられる認知行動療法的観点から,ひきこもり状態の改善に影響を与える家族の要因を整理した。そのうえで,まず,ひきこもり経験者および非経験者を対象とした質問紙調査を行ない,ひきこもり者の社会的交流行動を本人評定によって測定する尺度を作成した。分析の結果,ひきこもり者の社会的交流行動を測定する尺度として,本尺度の信頼性と妥当性が確認された。加えて,ひきこもり状態中にある者は,過去ひきこもっていた者やひきこもり経験のない者よりも社会的交流行動が少なく,過去ひきこもっていた者は,ひきこもり経験のない者よりも社会的交流行動が少ないことが示された。なお,この知見は結果を整理したうえで,学術雑誌に投稿中である。 また,家族を対象とした質問紙調査を用いて,これまで暗黙のうちに想定されてきた「心理的ストレス」や「否定的認知」といった家族におけるプロセス変数,および,それらの変数よりも直接的にひきこもり状態に影響を及ぼすことが想定される「随伴性認知」や「対応レパートリー」というプロセス変数を包括的に検討した(データ収集中)。 次年度は,引き続き家族を対象とした質問紙調査のデータを収集することに加えて,今年度の実績をふまえて,家族だけではなく,ひきこもり者も対象とした調査を行ない,ひきこもり者と家族の相互作用プロセスを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,ひきこもり状態からの改善に影響を及ぼす家族支援における要因を認知行動療法的観点から包括的に検討した。また,必要とされるアセスメント方略の作成を行なった。しかしながら,当初の予定通り,本年度はひきこもり者と家族の相互作用プロセスの検討までには至らなかったため,今後はこの検討を行なう必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきこもり者の家族を対象とした今年度の質問紙調査の結果をふまえて,ひきこもり状態の改善に影響を及ぼすひきこもり者と家族の相互作用プロセスを明らかにする研究を行なう。その際,今年度に作成した社会的交流行動を測定する尺度も用いて検討を行なう。
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