2018 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of electric polarisation induced by spin waves
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18H05855
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山本 慧 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 任期付研究員 (10746811)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 磁性体 / スピン波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である、磁性絶縁体中における磁気の波(スピン波)と誘電分極の相互変換機構の開拓に向けて、代表者は空間反転対称性(鏡に映した際に元の姿とぴったり重なる性質)の破れに着目して研究を行った。 物質中で電気と磁気の結合が起こるためには、空間反転対称性が破れていることが必要であるが、そのような結晶構造を持つ磁性物質は非常に限られており学術的にも応用上も広く普及しているとは言えない。代表者は、実験に携わる研究協力者と共同で、通常の空間反転対称性を破らない結晶構造を持つ磁性体に空間反転対称性を破る加工を加えた場合に、そこを伝わるスピン波にどのような性質の変化がもたらされるかを調べる理論解析、及び測定を行ってきた。実験の結果は、スピン波の伝搬が右に伝わる場合と左に伝わる場合で異なる性質を持つことを示唆しており、代表者は測定結果を説明する理論モデルの構築を行った。 具体的なモデル構築は、大まかな全体像を理解するための解析計算と、実験データと数値を合わせることを目標とする数値計算を並行して行った。解析計算においては、磁性体の加工によってスピン波が散乱される様子を数式化し、加工の反転対称性の破れがスピン波の散乱にも反転対称性の破れをもたらすことを示すことに成功した。数値計算は導入したソフトウェアがシステムの更新の際に動作しなくなるトラブルが発生したため進捗が遅れているが、スピン波の左右伝搬の非対称性はすでに確認できており、今後計算量を増やして実験との比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、スピン波が誘電分極を生じるための基本的条件である「空間反転対称性の破れ」が満たされている場合の性質を理論的に解析し、実験との比較を行う事ができた。数値計算の部分では、ソフトウェアのトラブルにより多少の遅れがあるものの想定の範囲内と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のスピン波の散乱理論を完成させ、数値計算をより大規模に行っていく。実験結果の取りまとめにも協力し、2019年夏を目処に結果をまとめた論文を提出することを目標としている。スピン波の空間反転対称性の破れに関する研究が完成し次第、そこから生じる電気分極の計算、測定へと研究を発展させていく予定である。
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Research Products
(1 results)