2020 Fiscal Year Annual Research Report
熱外中性子偏極技術の開発と139LaにおけるCP対称性の破れの増幅率の最終決定
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19K21047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥平 琢也 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (40826129)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中性子 / CP対称性の破れ / 中性子偏極デバイス / (n,γ)反応 / 3He核偏極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では139La+n複合核におけるCP対称性の破れの増幅率決定のために、139Laの偏極中性子吸収に伴うγ線放出角度分布測定を行うことを目的としている。このために本研究ではまず中性子偏極デバイス:3Heスピンフィルタの開発を行った。今年度までにJ-PARCに立ち上げた真空システムを用いて計10個のハイブリッド型3Heスピンフィルターを作製した。作製した3HeスピンフィルタをJ-PARCの中性子ビームラインANNRIに3He偏極保持用のコイル、磁気シールド、3He偏極反転装置などと共に導入し、139Laの偏極中性子吸収に伴うγ線放出角度分布測定を行った。当初偏極用レーザーパワーの不足から実験時の3He偏極率は60%とあまり高くなかったが、新しいレーザーシステムを立ち上げ、80%程度の十分に高い3He偏極率を達成した。またビームライン上で130時間程度の十分長い3He偏極緩和時間も達成し、139Laの共鳴エネルギーである0.74eVの中性子に対して30%程度の中性子偏極率を得ることに成功した。 139Laから放出されるガンマ線の角度分布はANNRIに設置されているゲルマニウム検出器群を用いて測定された。その結果、139Laが偏極中性子を吸収し140Laの基底状態に遷移する際に放出されるガンマ線において、中性子スピン方向依存する角度分布が存在することを発見した。本結果は論文としてPhysical Review Cに掲載され、プレスリリースが行われた。この角度分布の結果を既存のs-p混合モデルによって解釈すると139LaにおけるCP対称性の破れの増幅率は10^6程度であるということがわかった。これは今後のCP対称性の破れ探索実験計画にとって非常に重要な成果となる。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Transverse asymmetry of γ-rays from neutron-induced compound states of 139La2020
Author(s)
T. Yamamoto, T. Okudaira, S. Endo, H. Fujioka, K. Hirota, T. Ino, K. Ishizaki, A. Kimura, M. Kitaguchi, J. Koga, S. Makise, Y. Niinomi, T. Oku, K. Sakai, T. Shima, H. M. Shimizu, S. Takada, Y. Tani, H. Yoshikawa, and T. Yoshioka
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Journal Title
Physical. Review. C
Volume: 101
Pages: 064624
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Development and application of a 3He Neutron Spin Filter at J-PARC2020
Author(s)
T.Okudaira, T.Oku, T.Ino, H.Hayashida, H.Kira, K.Sakai, K.Hiroi, S.Takahashi, K.Aizawa, H.Endo, S.Endo, M.Hino, K.Hirota, T.Honda, K.Ikeda, K.Kakurai, W.Kambara, M.Kitaguchi, T.Oda, H.Ohshita, T.Otomoc, H.M.Shimizu, T.Shinohara, J.Suzuki, T.Yamamoto
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Journal Title
Nucl. Instrum. Methods Phys. Res., Sect. A
Volume: 977
Pages: 164301
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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