2018 Fiscal Year Annual Research Report
農業副産物を有効活用した環境親和性を有する多孔質緑化基盤材の開発
Project/Area Number |
18H06025
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
阿部 由麻 (島本由麻) 北里大学, 獣医学部, 助教 (70826601)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | アコースティック・エミッション / 農業副産物 / グリーンインフラ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,グリーンインフラの概念が普及するにしたがって,植物の生育状況だけではなく,基盤の安定性や環境親和性を含めて総合的に緑地環境を評価する必要性が指摘されている。本研究では,農業副産物である「もみ殻」や「稲わら」を活用し,多孔質構造を有する新たな環境親和型材料を提案するとともに,AE(Acoustic Emission)法を用いた植物の生理反応の評価手法を構築することを目的とする。 2018年度においては,AE法を用いて植物起源弾性波の検出に基づく植物生理状態(水ストレス状態)の非破壊計測法の開発を進めた。この水ストレス条件下における植物生理の計測や評価法の確立はより効率的な緑地環境の創出に資するものと考えられる。AE計測による植物の水ストレス評価を実用化するためには,検出波の種類を適切に判別し,気泡運動起源である突発型AEのみを抽出する必要がある。従来突発型AEの抽出には主にハイパス処理が用いられているが,より精度を向上させる必要性が指摘されている。本研究では,ウェーブレット変換による特徴量および気泡運動方程式であるレーリー・プレセット方程式による推定周波数を用いて,検出波の判別を試みた。検討の結果,これらのパラメータを用いることで,検出波を少なくとも4種類に判別でき,突発型AEとその他の検出波を明確に判別できることが明らかになった。なお,本研究課題に関する関連業績は論文11件および口頭発表7件を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AE法による植物の水ストレス評価の実用化を目指した場合,検出波の判別精度向上が課題の一つとして挙げられた。本研究では,突発型AEとその他の検出波をウェーブレット変換による特徴量およびレーリー・プレセット方程式による推定周波数を用いて,検出波を明確に判別できることを明らかにした。このことから,おおむね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,次に示す2つの課題に取り組む。研究課題1は「農業副産物を活用した多孔質構造を有する環境親和型材料の開発」,研究課題2は「導入植物の生理反応を指標とした新たな評価パラメータの構築」である。2019年度では,研究課題1において,稲わらを活用した繊維シートの開発に取り組む。具体的には,加工条件を変えた稲わら繊維の引張強度試験を行い,加工条件が破壊過程に及ぼす影響を明らかにする。研究課題2においては,AE(Acoustic Emission)法を用いて植物起源弾性波を検出し,その波形特徴量を詳細に解析することで植物の生理状態の評価を試みる。
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Research Products
(18 results)