2019 Fiscal Year Annual Research Report
エキソソームの多様性を生み出す細胞内小胞輸送経路の解明
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19K21174
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 貴英 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10827794)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | exosome / ESCRT |
Outline of Annual Research Achievements |
エキソソームは細胞外小胞の一種で、細胞中のmultivesicular body (MVB) が細胞膜と融合することでMVB内の内腔小胞がエキソソームとして細胞外へと分泌される。近年、単一の細胞から多種のエキソソームが分泌されることが知られている。しかし現在までに、どのように多様なエキソソームが形成され、細胞外へと輸送、分泌されるのかほとんどわかっていない。本研究では、密着結合により物理的に隔てられた二種類の性質の異なる細胞膜(頂端膜と側底膜)を持つMDCK細胞を用いて、頂端膜と側底膜のそれぞれから分泌されるエキソソームが性質が異なるものなのか、その多様性はどのように生まれるのかを明らかにしようとしている。 前年度までに、実際にMDCK細胞から少なくとも2種類の性質の異なるエキソソームが分泌されていることを明らかにしている。そこで本年度は、この性質の異なるエキソソームが細胞内でどのように生合成されるにか、すなわち、性質の異なるMVBがどのように形成されるのか、その分子メカニズムの解明を目指した。 RNA干渉法によりESCRT (endosomal sorting complexes required for transport) 複合体などの既知のMVB形成に関わる遺伝子を欠損させたところ、ESCRT複合体ではなく、一部のESCRT関連遺伝子のみがMDCK細胞の頂端膜からのエキソソーム分泌にすることが明らかとなった。さらに、ESCRT非依存的なMVB形成システムが側底膜からのエキソソーム分泌に関与することもわかった。 この「一部のESCRT関連遺伝子の欠損」と「ESCRT非依存的なシステムの破綻」の両方を誘導したMDCK細胞では、頂端膜からと側底膜からのエキソソーム分泌の両方が阻害を受けた。つまり、MDCK細胞における多様なエキソソーム形成は、これら2つのメカニズムが互いに非依存的に制御している可能性が強く示唆された。 現在これらの結果をまとめた論文を投稿中である。
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Research Products
(1 results)