2020 Fiscal Year Research-status Report
プレシジョンケアを目指した抗がん薬起因性末梢神経障害予防に関する予測因子の検討
Project/Area Number |
19K21293
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
華井 明子 国立研究開発法人理化学研究所, 科技ハブ産連本部, 特別研究員 (60826220)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 化学療法起因性末梢神経障害 / プレシジョンケア / 冷却介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究のテーマである化学療法起因性末梢神経障害に対する冷却療法に関して、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が化学療法起因性末梢神経障害ガイドラインの改定を行い(JCO,2020)、また欧州臨床腫瘍学会(ESMO)が欧州がん看護学会(EONS)欧州神経腫瘍学会(EONS)と共同で中枢障害も含めたガイドラインを作成し(Ann Oncol,2020)、その双方で採用された。冷却による末梢神経障害予防に関しては2019年のESMOガイドライン概要の発表時にはLevel of Evidence はGrade of Recommendation はB昨今多数の臨床試験結果が報告されたため、ASCO ガイドラインは益と害を明らかにするためのより大規模な臨床試験を要すとし、ESMOガイドラインではOptional choiceとして検討することができるとしている。 しかしながら、これらの根拠となる臨床試験の対象者には、従来冷却による副作用予防効果が期待できるとされていたタキサン系抗がん薬だけでなく、半減期が長く化学療法起因性末梢神経障害の発症機序や発症頻度が異なり、冷却により疼痛を引き起こす症状像を呈すオキサリプラチンを投与する対象者が過半数含まれており、また3割の対象者が脱落する試験となっており、予防介入の恩恵を受けられる対象者以外の影響で結果の解釈が困難となった可能性が高いと考えられた。また、昨今末梢神経障害の評価法について、客観的な神経症状の検査と質問紙を中心とする主観的な生活障害評価で、同じ患者内でも結果の傾向および経過が異なることが指摘されている。そこで本研究課題では、当初考えていた単一の研究データのサブグループ解析による研究方針を変更し、投与抗がん薬の種類やスケジュールおよび使用された評価方法が結果および効果に及ぼす影響のメタ解析を中心に実施していくことを目標に、研究実施していくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、欧州臨床腫瘍学会からは2019年にガイドラインが発刊されるとの情報公表があったが、世界的な感染症の拡大等により、大幅に遅れての発刊となった。また、当初公表されていた内容とは異なり、その半減期や症状像から冷却介入の恩恵を受けにくいと考えられるオキサリプラチン使用者も含む臨床試験結果を入れた結果から判定を実施しており、実装を考慮した場合研究計画を大幅に変更することが必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で当初考えていた単一研究のサブグループ解析による研究方針を変更し、化学療法レジメン含め多数の対象者要因が結果および効果に及ぼす影響の解析を中心に研究実施していくこととした
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Causes of Carryover |
世界的な感染症拡大により、各種学会の開催が中止またはオンラインに変更となり、また出張やデータ取得も大幅に制限されたため、使用額に変更が生じた。本年度は新規解析および研究成果の公表に当該予算を使用予定である。
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Research Products
(2 results)