2018 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム関連解析による日本人多発性硬化症の脳灰白質萎縮を規定する遺伝子の同定
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18H06214
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 優理 九州大学, 医学研究院, 特任助教 (40822375)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 頭部MRI / HLA / 全ゲノム関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(MS)の疾患修飾薬は、慢性的な障害進行には無効で最大のアンメットニーズとなっている。障害進行は脳萎縮と最も強く相関する。私たちは、多数例の日本人と欧米人のMS のMRI 画像の比較により、両者とも大脳皮質容積と深部灰白質容積が障害の進行と強く相関することを見出した。しかも深部灰白質の萎縮速度は日本人MS が欧米人MS より有意に速かった。しかし、このようなMS の脳萎縮を規定する遺伝的要因は全く不明である。そこで、本研究では大脳各部位、特に障害進行に密接に関わる灰白質容積の減少と有意に相関するリスク遺伝子・保護的遺伝子を全ゲノム関連解析(GWAS)により同定することを目的としている。 平成30年度においては、MS 83例の頭部MRI撮影及びHLAタイピングを施行した。また、健常対象者14例のMRI撮影も行った。現在、MRI撮影を行った研究参加者の全脳体積及び各脳部位体積(白質体積、皮質体積、深部灰白質体積)、及びT1・T2病巣体積の計測を行い、脳萎縮と関連する遺伝子について検討中である。 また、脳萎縮同様、障害進行と密接な関わりをもつ脊髄萎縮についても計測を行い、疾患障害度などの臨床パラメータとの関連について解析を行った。その結果、MSでは頸髄断面積、胸髄断面積がExpanded Disability Status Scale(EDSS)スコアと有意に相関していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通り進んでいるが、研究参加者が予想より少ないため、視神経脊髄炎患者についての解析も行い、多発性硬化症患者との比較を行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらに研究参加者数を増やし、MSの障害進行に密接に関わる灰白質容積の減少と有意に相関するリスク遺伝子・保護的遺伝子の解析を行う予定である。
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