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2018 Fiscal Year Annual Research Report

難治性腹膜播種の完全除去を目指す大気圧プラズマを応用した革新的腹腔内治療の開発

Research Project

Project/Area Number 18H06252
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

池田 芳紀  名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (30820378)

Project Period (FY) 2018-08-24 – 2020-03-31
Keywords腹膜播種 / 大気圧プラズマ / 腹腔内治療 / 婦人科悪性腫瘍
Outline of Annual Research Achievements

難治性腹膜播種に対するプラズマ活性溶液(間接プラズマ)治療の臨床応用に向け、プラズマ活性培養液が高い抗腫瘍効果を示すことを培養細胞およびマウス卵巣癌腹膜播種モデルに対する治療効果により実証した。また、それをもとに改良したプラズマ活性リンゲル液が高い抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。さらに、乳酸リンゲル液の主成分である乳酸ナトリウムが本プラズマ活性溶液の効果に重要であることを同定した。
しかし、プラズマから生成されるどのような活性種が癌細胞の死滅やマウス腹腔内における腹膜播種を抑制するかについては十分に解明できていない。その作用機序の解明のためには、高い再現性を有した超精密高密度プラズマ装置の最適化を図り、プラズマ活性溶液の規格化が必須であると考えた。本活性溶液製造装置の試作1号機において生成されるプラズマ活性リンゲル液は、供給される反応性ガスの種類や混合比の違いにより抗腫瘍効果が異なることがわかった。その要因として生成される活性酸素・窒素種の種類や濃度が異なることを見出した。卵巣癌細胞に対し強力な抗腫瘍効果を示す条件で作成したプラズマ活性リンゲル液は、マウス卵巣癌腹膜播種モデルに対しても生存期間を有意に延長した。すなわち、反応ガスの組成や混合比をコントロールすることによって、目的とする治療効果が得られるプラズマ活性溶液の製造が可能になることが示唆された。
さらに、より実用化を目指した装置として試作2号機を開発した。本機はリンゲル液を一定の流速で流しながらプラズマ活性溶液の製造が可能である。治療に必要な量のプラズマ活性溶液を作成するのに十分な能力を搭載するために、プラズマ本体の規格を変更した。このような改良を加えた2号機においても1号機同様に、生成される活性酸素・窒素種等の基本データの収集を行った。その結果、さらに強力な抗腫瘍効果を示す溶液の作成が可能となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究においてプラズマ活性リンゲル液が高い抗腫瘍効果を示すことを見出し、プラズマ活性培養液を用いた培養細胞や動物実験の成果から臨床応用に向けて一歩前進した。その一方で、プラズマ活性溶液製造装置の試作1号機において、反応性ガスの種類や混合比の違いにより、活性酸素・窒素種のプロファイルが異なるプラズマ活性溶液が生成されていることが明らかとなった。間接プラズマがもたらすがん細胞に対する抗腫瘍効果のメカニズムの解明という本研究の目的を達成するためには、高い再現性を有したプラズマ装置の開発とプラズマ活性溶液の規格化が必要である。何よりもまずプラズマ装置の最適化が必須と考え、研究計画の若干の変更はやむを得ないと判断し、プラズマ活性溶液製造装置試作2号機の開発を優先した。必要量のプラズマ活性溶液の製造を可能とするため、プラズマ本体の規格を変更し基本データの収集を行った。それによりさらに強力な抗腫瘍効果を示す溶液の作成が可能とはなったが、2号機の開発とプラズマ装置の最適化に時間を要した。そのため、間接プラズマ治療のがん細胞に対する網羅的解析による包括的分子メカニズム評価と腹膜微小環境における間接プラズマの免疫逃避への関与の評価に関して、進捗状況としてはやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

プラズマ活性溶液製造装置試作2号機の開発により、生成されるプラズマ活性溶液の抗腫瘍効果は上がったものの、プラズマ本体の規格の見直しが必要となった。これまでの試作1号機で集積したデータとのすり合わせを行い、最適な規格値の設定が必要である。プラズマ活性溶液(間接プラズマ)治療の抗腫瘍効果の実証は十分行うことができたが、効果の本質(有効成分)、がん細胞に対する抗腫瘍効果の分子メカニズム、腹膜微小環境におけるがん細胞との相互作用に関しては、まだ不明瞭な点が多く今後の解明すべき課題である。そのためには、高い再現性でプラズマ活性溶液を生成できるようにプラズマ装置の最適化と、プラズマ活性溶液の規格化が必須である。
今回開発した2号機によるプラズマ活性溶液の実験結果は、さらに高機能のプラズマ活性溶液が作成できる可能性を示唆しており、今後さらに動物実験を含む詳細な解析を進め、in vitro, in vivo の両方で効果を検証する。プラズマ本体からプラズマ活性溶液まで一連の規格を決定した上で、がん細胞に対する抗腫瘍効果のメカニズムの解明へと研究を進めていく。

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Published: 2019-12-27  

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