2019 Fiscal Year Annual Research Report
難治性腹膜播種の完全除去を目指す大気圧プラズマを応用した革新的腹腔内治療の開発
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19K21346
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池田 芳紀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (30820378)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腹膜播種 / 大気圧プラズマ / 腹腔内治療 / 婦人科悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮体癌はわが国では毎年約1万5000人が罹患し、約2100人が死亡しており、罹患数、死亡数とも年々増加していて対策すべき悪性腫瘍の一つである。早期に診断された場合の予後は良好であるが、進行した状態で診断された場合や再発した場合の予後は不良で、化学療法に抵抗性をもつ難治性腹膜播種である場合もしばしば経験する。また、わが国の保険診療の下で子宮体癌に対して投与可能な薬剤は限られており、腹膜播種を伴う進行・再発子宮体癌に対する新規治療法の開発への需要が高まっている。 これまでに、改良したプラズマ活性リンゲル液が培養細胞およびマウス卵巣癌腹膜播種モデルに対する高い抗腫瘍効果を示すことを明らかにしてきた。現時点では、その作用機序は溶液中に含まれる多量の活性酸素種による影響と考えているが、十分に解明できてはいない。また、プラズマ活性溶液の子宮体癌に対する効果はこれまでに報告がない。そこで、子宮体癌に対するプラズマ活性溶液の効果を確認するとともに、その作用機序の解明を目指し研究を行った。 複数の子宮体癌細胞に対しプラズマ活性溶液を投与したところ、子宮体癌細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導することがわかった。これはプラズマ活性溶液の濃度および投与時間と相関を認めた。また、プラズマ活性溶液の作用機序としてオートファジー細胞死の活性化(オートファジーに関連するタンパクLC3の発現増加)が関与することを突き止めた。オートファジーインヒビター(MHY1485)により、プラズマ活性溶液の抗腫瘍効果が減弱されることも示した。これらの成果により、プラズマ活性溶液は子宮体癌細胞に対して抗腫瘍効果を有し、その作用機序はオートファジー細胞死が関与することが初めて示された。
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[Journal Article] Plasma-activated medium promotes autophagic cell death along with alteration of the mTOR pathway2020
Author(s)
Yoshikawa Nobuhisa, Liu Wenting, Nakamura Kae, Yoshida Kosuke, Ikeda Yoshiki, Tanaka Hiromasa, Mizuno Masaaki, Toyokuni Shinya, Hori Masaru, Kikkawa Fumitaka, Kajiyama Hiroaki
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 10
Pages: 1614
DOI
Peer Reviewed / Open Access