2019 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部神経ペプチドにおける慢性疼痛に対する神経可塑性に及ぼす分子基盤の解明
Project/Area Number |
19K21360
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松浦 孝紀 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90821679)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視床下部 / 前帯状回 / オキシトシン / 慢性炎症疼痛 / 神経可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
視床下部オキシトシン(Oxytocin: OXT)と慢性疼痛に対する中枢神経系のシナプスの可塑性変化に着目した。まずは頸椎脱臼後に脳をすみやかに取り出し、人工脳脊髄液灌流下で前帯状回を含むマウス脳スライス切片を作製し、ホールセル・パッチクランプ法にて検討した。刺激電極を置き、前帯状回領域の錐体細胞から誘発興奮性シナプス電流を記録した。長期増強(Long-term potentiation: LTP)を誘発させる特殊な刺激を行った上でOXTを灌流させ、LTPへの影響を確認した。結果、OXTがLTPを減弱することが明らかとなった。 次に視床下部OXTニューロンに着目し、OXTニューロン自身のシナプスの可塑性についても検討した。視床下部OXTニューロンの識別には、OXT-monomeric Red Fluorescent Protein 1: mRFP1 トランスジェニックラットを用いた。上記と同様の手技で視床下部を含むラット脳スライス切片を作製し、ホールセル・パッチクランプ法にて検討した。 無治療群ラットのOXT-mRFP1ニューロンにおける誘発興奮性シナプス電流の記録し、LTPの誘発の有無ついて検討した。paring-protocolとされる特殊刺激により、OXT-mRFP1ニューロンのLTPが誘発された。また結核死菌を用いて、慢性関節リウマチモデルの一つであるアジュバント関節炎ラットを作製し、結核殺菌投与後14日目に関節炎が発症しているのを確認し、ホールセル・パッチクランプ法を行った。結果、アジュバント関節炎ラットでは、LTPは誘発されなかった。OXT-mRFP1ニューロンにおいてparing protocolで引き起こされたLTPは、慢性関節炎ラットの一つのモデルであることが示唆された。今後もLTPの起こるシグナル経路については引き続き検討していく。
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