2019 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害を有する思春期の子どものレジリエンス・モデルの構築
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19K21476
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
海野 潔美 常磐大学, 看護学部, 助教 (80824242)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 思春期 / レジリエンス / 困りごと / 対処 / 醸成モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害(以下ASDとする)と診断されている小学5年生5名、中学生4名、高校生4名の計13名とその主たる養育者(母親10名 父親2名)に対して、インタビュー調査を行った(うち兄弟1組あり)。 ASDの子どもには、自己像として自分の長所や短所、性格、得意なこと等、そして困りごととそれに対する対処方法、将来像を聴取した。平均インタビュー時間は、20分8秒であった。主たる養育者に対しては、子どもの長所、短所をどのように捉えているか、子どもがどのように自己をとらえているか、養育者から見た子どもの困りごとと対処方法、それに対する養育者の対応、今後子どもに期待することなどを聴取した。平均インタビュー時間は29分3秒であった。 子どものインタビューにおいては小学5年生男児1名が途中中断となった。困りごとと対処方法で回答に行き詰まり、わからないという返答が多くなり、中断の意思が本人より聞かれたため中断とした。他児は特にフラッシュバックや感情混乱などきたすことなくインタビューを終了することができた。まだ、分析の途中ではあるが、中学2年生男児と父親のペアのインタビューでは、父親は自覚していなかったが、ASDの子どもは父親をロールモデルとしており、将来の目標としていた。また、特に小学生においては、自己像が表面で見れるもの(足が速い、縄跳びが得意等)に偏っており、自己の内面にまで目が向かず自己像が定型発達児と比較するとややあいまいであることが分かった。また、具体的な分析はまだであるが、今回思春期を小学校高学年、中学校、高校と3つの時期に分けて対象者を募った。結果、自己像、社会的資源などの活用を含めた対処方法、将来への具体的方策などは、年代が進むにつれ、具体化されていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、Grotbergの枠組みにおける①個人の内面の強さ(I am)、②資源の活用(I have)、③対処する力(I can)についてNVivo 12 Plusにて質的分析を行っている。これにより、ASDの子どもにおけるレジリエンスの構成要素が明らかとなる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
質的分析で明らかとなったASDの子どものレジリエンスの構成要素より、その関連性などより、醸成モデル作成へとつなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿と分析に必要な機材や文献取り寄せのため。
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