2019 Fiscal Year Annual Research Report
排水処理システムからの亜酸化窒素削減に寄与する非脱窒性細菌の探索
Project/Area Number |
19K21555
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
末永 俊和 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80828377)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 亜酸化窒素 / ゲノム解析 / 脱窒 / 地球温暖化 / 温室効果ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
強力な温室効果ガス、オゾン層破壊物質して知られている亜酸化窒素(N2O)の削減技術の開発に向けて、非脱窒性N2O還元細菌の活性の検出と探索を目的とした。本研究では、嫌気性アンモニア酸化細菌(アナモックス)と共存している非脱窒性N2O還元細菌に着目し、そのN2O還元ポテンシャルの把握、並びにゲノム解析、集積培養を試みた。 初年度に開発した、15N安定同位体を用いたN2O還元ポテンシャル評価手法を用いて、より詳細なN2O還元活性の解析を行った。アナモックスバイオマスから生成するN2Oは添加した亜硝酸由来、つまり亜硝酸の脱窒反応により生成していることが明らかとなった。また、呼吸活性試験によりN2Oに対する親和性を明らかにしたところ、既往の脱窒細菌よりN2Oに対する半飽和定数が大きい、つまり低濃度のN2Oを消費する能力が低い可能性が示唆された。これは、アナモックスバイオマスが形成する粒状の汚泥形態(グラニュール)が影響している可能性があり、今後、汚泥形態の制御等への進展が期待される。 メタゲノム解析によりアナモックスバイオマスに共存するN2O還元細菌の検出を試みた。優占種のゲノム配列を推定したところ、N2O還元酵素機能遺伝子はChloroflexi門に属する細菌種に帰属するものが多く検出された。さらにその一部の細菌群は亜硝酸還元酵素を欠損していることが明らかとなり、アナモックスバイオマス内でN2Oの生成と消費を担う細菌群がそれぞれ異なる可能性が示唆された。 非脱窒性N2O還元細菌をターゲットとした集積培養では、細菌群集構造解析の結果、幾つか有意に存在率が増加した細菌種が検出されたものの、その存在率は依然として1%以下であった。今後さらに高度に集積化するためには、長期的観察と他の増殖阻害因子の影響を考慮しながら検討を進める予定である。
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[Presentation] Activity, abundance, and identification of N2O-reducing bacteria present in Anammox biomass - Combination of 15N tracer and molecular analyses2019
Author(s)
Toshikazu Suenaga, Takumi Ota, Tomoyuki Hori, Shohei Riya, 2, Masaaki Hosomi, Kartik Chandran, Susanne Lackner, Barth F. Smets, Akihiko Terada
Organizer
8th IWA Microbial Ecology and Water Engineering Specialist Conference (MEWE2019)
Int'l Joint Research
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