2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21582
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
前川 洋一 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294670)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性感染 / 旋毛虫由来因子 / 慢性炎症 / 炎症抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康寿命延伸のためには老化を緩徐にすることが望ましい。老化には炎症による細胞・組織のダメージとその修復が関連する。したがって、老化の緩徐化には過度の炎症を抑制する必要がある。一方、老化した細胞からは炎症性サイトカインが産生される(senescence-associated secretory phenotype, SASP)ことで炎症が誘導され、さらなる細胞の老化を引き起こす。SASPによる老化スパイラルを断ち切ることが老化を防止し健康寿命の延伸につながる。本研究では我々が従来の慢性感染症研究から見出した病原体由来分子による炎症の抑制作用を応用し抗老化の新たな予防概念の創出と創薬シーズの探索を目的とした。 我々が見出した病原体由来因子Tpp53はマウスマクロファージからのIL-6産生を抑制する作用を有している。この知見に基づき、我々ははじめにTpp53に応答する宿主側の応答分子(受容体)を同定することから取り組んだ。マウスマクロファージ細胞株を用い、Tpp53を作用させることで発現が変化する遺伝子群を網羅的に解析した。その結果、細胞表面分子であるSlamf9をTpp53の受容体の候補とした。次にCRISPR/Cas法によりSlamf9遺伝子を破壊したマクロファージ細胞株を作製しTpp53を作用させたところ、Tpp53の効果であるIL-6産生の抑制が解除された。この結果からSlamf9がTpp53の受容体である可能性が高いと考え、Slamf9遺伝子を欠損するマウスを作出することとした。マウスの作出に少し時間がかかったため当初の到達予定点まで研究を進めることができておらず、Slamf9遺伝子欠損マウスを用いた解析を実施中である。
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Research Products
(7 results)