2022 Fiscal Year Research-status Report
Asian Women on the Move: Migration, Memory and Gender in Contemporary Performance
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19K21617
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
エグリントン みか 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (50632410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
エグリントン アンドリュー 甲南女子大学, 文学部, 講師 (30707948)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 女性 / アジア演劇 / 移動 / フェミニズム / オリエンタリズム / ポストコロニアリズム / 記憶 / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍により当初予定していた海外でのリサーチや国際学会発表などが実現できなかったものの、以下の研究業績を挙げた。 研究代表者がShakespeare Studiesにコロナ禍渦中で静岡文化芸術センターにて上演された『ハムレット』(宮城聰演出)レビューを執筆した。分担者が日本演劇学会学会紀要に'Earth Crisis: Reflections on a Decade of Physical Theatre by Performance Troupe Taihen'を発表し、1983年から大阪を拠点に活動する劇団態変による舞台作品『ヴォイツェック』(2013年)と『Over the Rainbow』(2014年)を比較し、環境破壊の媒介において身体が果たす役割を問い、汚染、障害、制度的権力の関係を考察した。加えて、甲南女子大学研究紀要に論文'From Agit-prop to Agit-docs in 1930s British Theatre'を発表し、サルフォードを拠点とするシアター・オブ・アクション(TOA)の原始的ドキュメンタリー演劇を実験的に用いた宣伝劇について考察した。 研究代表者と分担者が共同し、岸田國士戯曲賞を受賞した松原俊太郎作『山山』の翻訳を『ENGEKI: Japanese Theatre In the New Millennium 8』(日本劇作家協会)から出版した。業績表には挙げなかったものの、静岡県舞台芸術センターで上演されたシェイクスピア歴史劇『リチャード2世』とイプセン戯曲『人形の家』、豊島区芸術文化センターで上演された上田久美子作『バイオーム』の英語字幕翻訳を担った。 さらに、英字新聞The Japan Timesに「シアターコモンズ東京2022」、「越後妻有と瀬戸内のトリエンナーレ」、「KYOTO EXPERIMENT 2022京都国際舞台芸術祭」という日本の視聴覚芸術のハブとなっている国際フェスティバルについての3記事を共同執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻によって、これまでの生活様式とともに視覚芸術のあり方が問い直される昨今、「時代の鏡」とされる舞台芸術がその鏡の形式と機能をいかに変容させ、何を映し出すのかを問い直す研究業績を挙げた。論文4本、翻訳4本、新聞記事3本を含む2022年度の業績は、コロナ禍とほぼ同時期に取得した産前産後休暇と育児休暇を取得する以前に書かれた研究計画書とは異なる展開を見せた。研究年度を延長することにしたため、「やや遅れている」との評価としたが、当初計画していたプロジェクトから異なる状況から生まれた業績は、別の観点に立つと「当初の計画以上に進展している」と捉えることもできよう。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が収束しつつある最終年度に当たる2023年度は、国内外の国際学会がオンラインと対面を兼ねたハイフレックスで行われるようになってきた。研究表代表者は、5月に日本英文学会におけるシンポジウム「ブレグジットと英文学」にて「ブレクジットを映し出す鏡としての視聴覚芸術」を日本語で発表した後に、8月にゲントで行われるEuropean Association for Japanese Studies(ヨーロッパ日本研究協会)にて、"'Tis in my memory lock'd" How the pandemic shaped Satoshi Miyagi's 2021 Hamlet'を、コロナ禍と日本の演劇に焦点を当てたパネルにて発表する予定である。 引き続き英字新聞The Japan Timesなどに寄稿し、舞台芸術の現在進行形を追いながら、Arden Shakespeare in the Theatreの一環として出版される宮城聰氏のシェイクスピア作品中の「女なるもの」に焦点を当てた英語単著書籍の完成と、女性とアジアと演劇についての英語書籍プロジェクトを進めることによって、これまでの研究の成果を世に問う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、当初予定していた海外でのリサーチや、国際学会に参加することができなかったため。
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