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2020 Fiscal Year Research-status Report

The Processes and the Achievements in Literary and Cultural Productions by Arab, Muslim and Palestinian Diasporas in the U.S. Urban East Coast

Research Project

Project/Area Number 19K21639
Research InstitutionKeisen University

Principal Investigator

有馬 弥子  恵泉女学園大学, 人文学部, 教授 (70212652)

Project Period (FY) 2019-06-28 – 2022-03-31
Keywordsパレスチナ / パレスチナ系アメリカ文学 / アラブ系アメリカ文学 / イスラーム / ムスリム系アメリカ文学 / アヤド・アクタール / ハラ・アリヤーン
Outline of Annual Research Achievements

2020年12月の多民族研究学会大会で「今世紀作品にみるムスリム、アラブ、パレスチナの交錯とディアスポラ性~アリヤーン作Salt Housesに至るまで~」と題し発表した。この準備にあたり、2021年9月にアクタールの新刊Homeland Elegies出版とPENアメリカン・センター会長就任を記念するオンラインイベントに参加し、アクタールにパレスチナ問題とアリヤーンについて尋ねた。
発表では先ず2000年代に発表された作品で同時多発テロを直接反映したテーマを扱った作品、Sixteen Wounded、The Back of the Throat、The Black Eyed & Architectureに触れ、次に2010年以降に発表されたイスラームとアラブ世界をテーマとする作品、American Dervish、An Unnecessary Woman、そしてアリヤーン作Salt Housesについて論じた。これらの作品全てにおいて、どこまで直接的に言及し、どのレベルまで擁護を表明するかについて濃淡の幅はあるが、常にパレスチナ問題の影が存在する。中には、パレスチナの描かれ方を疑問視せざるを得ない作品もあり、またパレスチナの描出は優れているものの必ずしもパレスチナの内面に迫っているとは言い切れない作品もある。その中で、2017年に発表されたアリヤーン作の長編小説Salt Housesはパレスチナ人の内面と、中東、ヨーロッパ、アメリカ各地にディアスポラとして散在するパレスチナの民の内面を微細に描き得ており、英語で発表されたパレスチナに関する作品としてはこれまでにない秀逸な大作であると評価出来る。
多民族研究学会では発表後に論文として学会誌『多民族研究』次号に投稿することが求められる。このため1月末に原稿を提出し、2021年度夏の大会前7月中に発行される予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

多民族研究学会での発表、現代演劇研究会発行予定『現代演劇』次号掲載の論文執筆、日本アメリカ文学会東京支部演劇分科会での発表の依頼については、当初の計画以上に進展したと評価する。内、多民族研究学会での発表は一定の評価が得られ、『多民族研究』の論文掲載は7月の発行を待つばかりである。しかし、『現代演劇』の論文執筆については、〆切3月末目前に急病で入院、手術に至り、編集委員との交渉で期限を延長、2022年3月日本アメリカ文学会での発表は取り上げる作品について検討中の段階であり、2020年度全体の評価としては「おおむね順調に進展している」というレベルにとどまる。
しかし、コロナ感染拡大が全世界的に終息せずに渡航が不可能になった一方で、東海岸都市部の現地関係者との研究上の連携はこれまで以上に進展した。2016年に科学研究費研究課題に着手して以来、2020年に入ってから所属機関紀要での発表以外に発表や執筆の機会が急速に増え、これらを契機に本研究課題の基盤であった『バニパル』関係者との研究上の情報交換はこれまで以上に具体的に研究成果に直結するようになった。これまでは渡航を繰り返し多岐に渡り情報を収集してきたが、現在はそれらの情報を精査し研究成果としてまとめることに集中する段階に入っていると評価する。又、『アジア系アメリカ文学を学ぶ人のために』(世界思想社、2011年)中ムーカジ論を執筆した際に現地情報、解釈、英文読解、査読等で協力を仰いだHuisman Linguistics & Literary Serviceからも、2020年以降の発表と執筆において当時以上に協力を仰いだ。これらの協力から得た知見と見解、特に英語文学におけるパレスチナ問題の描出に対するアメリカ内及びパレスチナ人当事者による評価について、多民族研究学会での発表と投稿原稿に反映させた。

Strategy for Future Research Activity

2021年度は、先ず『現代演劇23号』に掲載される予定の論文二本の執筆を完了させ、2021年度前期授業終了後に編集委員が編集作業に入るのに間に合わせる計画である。
その後は、3月中旬に現代演劇研究会会員より依頼のあった、2022年3月26日(土)に開催される日本アメリカ文学会東京支部演劇分科会での3月例会での発表の準備を進める。この発表で扱う作品はまだ検討中であるが、現在視野に入れている作品は、先述の『オスロ』(2017)を中心にJoseph RajivによるBengal Tiger at the Baghdad Zoo(2012)などである。これら二編についてはサイードの『オスロからイラクへ』を参照し、現代アメリカ演劇におけるパレスチナ問題とイラク戦争の描かれ方の関連性について考察を試みる。
もしもこれら二作を論じるならば、多民族研究学会投稿原稿でも考察し論じた、政治と文学の問題についても更に考察を深める。本研究課題中のアラブ系アメリカ文学、なかでもパレスチナに関連するテーマとパレスチナ系アメリカンによる文学は、政治目的であると誤解されがちであり、政治的出来事が背景にあるというだけで、それらの文学的、芸術的価値が評価されないことがある。従って、本研究課題のためには、地政学的に焦点を絞って論じる文学作品を選ぶことと同時に、文学と政治、芸術と政治の関係について普遍的な論考を深めることが不可欠である。
折しも2021年5月10日にはイスラエルがガザを空爆した。これはアラブとイスラエルの対立であると報道されている。『現代演劇』掲載予定の論文で扱うThe Band’s Visitでは政治的言及がゼロに近いが、アラブとイスラエルの対立を背景としていることを否定すべくもなく、本研究課題では今後とも扱う作品ごとに政治と文学、政治と芸術のテーマがどのように提示されているか緻密に検証していく必要がある。

Causes of Carryover

2019年度下半期、特に2020年年始以降、新型コロナウィルスの感染が国内外で拡大し続け悪化した。このため、授業期間ではない時期に計画していた2019年3月、2020年9月、2021年3月の東海岸都市部への渡航、2021年5月初旬のレバノンへの渡航は全て不可能となり、海外出張旅費の支出がゼロとなった。しかし渡航が不可能となったために使うことが出来た時間を最大限に活用し、研究発表の準備と論文執筆に充て、これまで以上に研究成果に直結させる軌道が整った。今後、感染状況をみて可能であれば現地調査を行う。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 今世紀作品にみるムスリム、アラブ、パレスチナの交錯とディアスポラ性~アリヤーン作Salt Housesに至るまで~2020

    • Author(s)
      有馬 弥子
    • Organizer
      多民族研究学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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