2020 Fiscal Year Research-status Report
深層学習による画像診断を利用した動物遺存体の種・部位同定に関する研究
Project/Area Number |
19K21655
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木山 克彦 東海大学, 清水教養教育センター, 講師 (20507248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正司 哲朗 奈良大学, 社会学部, 准教授 (20423048)
内山 幸子 東海大学, 国際文化学部, 准教授 (20548739)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 動物考古学 / 動物遺存体同定 / 深層学習 / 画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究開始当初からコロナ禍による緊急事態宣言中ということもあり、研究計画の策定は、研究代表者と研究分担者で遠隔での会合により行なった。以後も、密に連絡を取りながら、研究の進捗状況を確認してきた。本年度の研究は、画像データの収集と昨年阻作成した画像診断プログラムの試作機の改善である。 画像データ収集については、研究協力者である北海道大学総合博物館の江田真毅准教授の管理する鳥骨の現生標本を可能な限り画像データ化することとした。画像収集は、研究分担者の内山の指導の下、同博物館の短期職員を雇用し、行った。同館での画像収集にあたっては、オーバーヘッド型のスキャナと画像収集用のPCを新たに購入して効率化を図った。結果、267個体約5000枚の鳥骨画像を収集することができた。また木山も北海道内において遺跡出土の動物遺存体の画像データを収集した。 昨年度試作した動物遺存体の部位・種を同定する画像診断プログラムの精度向上については、研究分担者の正司が取り組んだ。画像データを2値化することで、昨年度までの同定率を2割程度上げることに成功した。またWebブラウザ上での画像同定アプリも試作開発した。これによりスマホで写真を撮影し、動物骨の同定を試みることができる。現時点では、研究チーム内で共有するのみの段階だが、将来的には公開し、ユーザーを増やすことで、動物骨画像の収集でき、また学習プログラムの深化も同時進行させることができる。その最初の段階に立つことができた。 次年度以降も、更なる動物骨の画像データを追加するとともに、画像データを、プログラムに学習させ、同定精度向上を図る。内山による動物考古学的な種・部位の同定に関する技術・知識のベクトル化をプログラムに組み込むことで、プログラムの確立を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で一部の研究実施に遅れは出たものの、実施内容はおおむね研究計画通りに実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、深層学習を利用した動物骨同定の精度を上げる為の現生動物骨及び動物遺存体の画像の収集を集中して行う。それとともに、動物考古学者が利用している同定技術・知識のベクトル化についても纏めていき、深層学習を利用した動物骨の画像診断プログラムの確立を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は当初より、コロナ禍の影響で、動物骨を所蔵する機関が閉鎖、また研究チーム各自が所属する機関の指示により、移動制限がかかり、打合せや画像データ収集の旅費の執行が出来なかった。年度途中より、制限も緩和され、動物骨を所蔵する機関で補助者を雇用しながらの画像収集することが出来るようになった(委託契約のためその他に計上)。但し、画像データ収集が年度途中から本格的な開始となった為、その後、実施する予定であったデータ処理加工をするための人件費、データ処理を加工する端末の設置に関する工程は出来なかった。以上のように、本年度当初予算の繰り越しの要因は、研究計画の実施工程の遅れによって生じたものである。但し、実施内容については研究計画に変更もなく、おおむね順調である。本来であれば、この時間的遅れを集中的に取り組むことで、取り返したいところだが、コロナ禍による様々な制限は今後もある程度続くものと予想される。その為、安全面に留意しながら、研究計画通りに遂行したい。
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