2021 Fiscal Year Research-status Report
深層学習による画像診断を利用した動物遺存体の種・部位同定に関する研究
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19K21655
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木山 克彦 東海大学, 教職資格センター, 講師 (20507248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正司 哲朗 奈良大学, 社会学部, 教授 (20423048)
内山 幸子 東海大学, 国際文化学部, 教授 (20548739)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 動物考古学 / 動物遺存体同定 / 深層学習 / 画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、研究開始当初からコロナ禍であり、研究計画の策定にあたっては、研究代表者と研究分担者で遠隔での会合により行なった。以後も、密に連絡を取りながら、研究の進捗状況を確認してきた。本年度の研究は、画像データの収集とこれまでに作成した画像診断プログラムの試作機の改善である。 本年度も、画像データ収集については、継続的に、研究協力者である北海道大学総合博物館の江田真毅准教授の管理する鳥骨の現生標本対象に行った。分担者である内山氏の指導の下、同博物館の短期職員を雇用し、行った。この点も昨年度と同様である。本年度は、約462個体分の鳥骨画像を収集することができた。 動物遺存体の部位・種を同定する画像診断プログラムの精度向上については、分担者である正司氏が取り組んだ。これまで収集した7,293 枚の鳥骨画像データを基に、作成したプログラムでは、鳥骨11種類の部位を対象としたもので、8割から9割の精度で部位同定することが可能となった。また成果の一部も公表することができた。 但し、まだ部位の同定のみであり、種の同定までには至っていない。また部位の同定でも、完形で、角度と方向を固定した場合のみに同定可能となる。これらを改善しながら、遺跡出土の動物遺存体の部・種の同定プログラム完成を目指したい。 尚、昨年度と同様、Webブラウザ上での画像同定アプリも作成している。これによりスマホ、携帯で写真を撮影し、動物骨の同定を試みることができる。現時点では、研究チームだけで試している段階だが、将来的に利用するユーザーが増えると、自然と動物骨画像の収集でき、またプログラムの学習が深化することで、プログラムの同定精度向上を目指し得る。その最初の段階に立つことができた。次年度は、Webサーバを設置し、公開したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス拡大する中、研究活動に制限があり、遅れはでたものの、おおむね研究計画の内容を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
一定条件下における同定精度は非常に高いものとなったが、骨の方向が異なる場合、あるいは部分的な欠損がある場合では、同定できない欠点がある。この点を改善して、遺跡出土の動物遺存体同定に応用できるよう目指したい。
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Causes of Carryover |
およそ当初予定通りに研究遂行できたものの、新型コロナウイルスの影響で、動物骨を所蔵する機関が閉鎖、また研究チーム各自が所属する機関の指示により、移動制限や画像収集に制約があった。その為、同定プログラムの開発にやや時間がかかった。また本研究では、同定プログラムをWeb公開し、ユーザーを増やすことで、動物骨画像の収集とプログラムの学習深化を目指すことも目的としたが、この点も時間が無かった。本年度当初予算の繰り越しの要因は、研究計画の実施工程の遅れによって生じたものである。但し、研究計画に変更もなく、順調に実施できている。次年度は、同定プログラムの改善を行うとともに、Web上での公開を行う。
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