2020 Fiscal Year Research-status Report
神経発達症への包括的社会脳育成プログラム開発ならびに教員養成
Project/Area Number |
19K21746
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
杉田 克生 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任教授 (40211304)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松澤 大輔 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任准教授 (10447302)
小泉 佳右 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (20425359)
久住 庄一郎 千葉大学, 教育学部, 教授 (40361399)
飯塚 正明 千葉大学, 教育学部, 教授 (40396669)
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 講師 (40625472)
小宮山 伴与志 千葉大学, 教育学部, 教授 (70215408)
中道 圭人 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70454303)
櫻井 健一 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (80323434)
宮寺 千恵 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90436262)
細川 かおり 千葉大学, 教育学部, 教授 (50259199)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 神経発達症 / 治療教育 / 情動知性 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経発達症は近年増加傾向にあり、学校での教育的支援の必要性が高まっている。近年の認知心理学、認知神経科学、神経生理学、遺伝学の成果にともない、神経発達症における社会脳あるいは情動知性(EI)の発達が不良であることが判明した 。そこで、神経発達症でのEI評価とエピジェネティクス解析を実施し、遺伝と環境要因の 相互作用を調査した。その結果に基づき認知行動療法を加味した治療教育支援プログラムを昨年度作成したが、その改訂を今年度加えた。 子どものEIの自己評価指標として,EI質問紙尺度と日本語版セルフコントロール尺度を用いて測定した。さらに,EIに関わる能力の客観的指標として,集団式での表情認知検査,情動ストループ課題,児童用心の理論課題を実施し、治療教育の実施の上で有用性を見出した。改訂を加えた学校での治療教育支援プログラムを教育学部での授業に取り入れ、神経発達症児の対応を担える教員養成に努めた。内容としては、教科横断的にスポーツ教育、技術教育、音楽教育、栄養教育担当教員が参集し、そのを他に認知行動療担当者、特別支援教育担当教員、認知神経科学者が合同で実施した。種々神経発達症へのスポーツ療法、音楽療法、経頭蓋電気直流刺激療法も取り入れた包括的治療教育プログラムであり、従来国内にはなかった神経発達症への包括的治療教育プログラムとして今後開発を進めた。千葉大学図書館のリポジトリ―に登録、公開し全国的な普及に努めた。 一方、認知リハビリテーション手法を応用し、脳波活性低下部位の検出結果を参考に、神経発達症児の前頭葉機能を高めるため経頭蓋直流電気刺激(Transcranial Direct Current Stimulation;tDCS)をパイロット的に実施した。今後事例を増やし、臨床的有用性を実証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経発達症特に自閉スペクトラム症に対し情動知性(EI)評価を行い、臨床診断上有用性を示せた。一方、エピジェネティクス解析数は現在まで少なく、遺伝と環境要因の 相互作用調査は今後症例数を増やして検討する必要がある。その結果に基づき、認知行動療法を加味した治療教育プログラムを昨年度作成したが、コロナ感染症のため学校での実践ができていない。また実践に基づいた種々神経発達症へのスポーツ療法、音楽療法、経頭蓋電気直流刺激療法による治療教育プログラムも未完成であり、改良を図る必要がある。 一方、小児神経学、特別支援教育、各教 科教育、認知神経科学、情報技術工学、神経生理学の専門家を糾合し、従来国内にはなか った神経発達症への包括的治療教育プログラムをガイドブックとして公開し、誰もが閲覧可能を目標にし国内での普及を目指したが実現できていない。このプログラムを学校 現場で担える教員養成を教育学部でも促進し、国内での普及に一層努める。
|
Strategy for Future Research Activity |
エピジェネティクス解析数は少なく、遺伝と環境要因の 相互作用調査は今後症例数を増やして検討する。その結果に基づき、初年度認知行動療法を加味した治療教育プログラムを改定する。種々神経発達症へのスポーツ療法、音楽療法、経頭蓋電気直流刺激療法を取り入れた治療教育プログラムを学校現場で実践する。 従来国内にはなか った神経発達症への包括的治療教育プログラムをガイドブックとして公開し、誰もが閲覧可能とした。このガイドブックを実践しうる教員となる教員養成大学生を大学で教育し、指導者として養成する。根本的治療法のなかった神経発達症の 社会脳育成を深化させ、神経発達症に併発しやすいいじめ被害、不登校、行為障害などの 二次障害軽減にもつなげる。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染症のため、昨年度作成した包括的治療教育プログラムの学校現場での実践が実施できなかった。さらに、海外研究者との意見交換、施設見学も不可能であった。また実施結果の発表をする国際学会、国内学会への参加も制限された状況であったため、計画が十分進まなかった。
|
Research Products
(8 results)