2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on facilitation of autonomous in-school lesson study of high-quality
Project/Area Number |
19K21748
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯窪 真也 東京大学, 高大接続研究開発センター, 特任研究員 (40609971)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 始 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 総括研究官 (60333168)
齊藤 萌木 東京大学, 高大接続研究開発センター, 特任助教 (60584323)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 授業研究 / 学習科学 / 教師教育 / デザイン社会実装研究(DBIR) / 知識構成型ジグソー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究者がキーパーソンとして直接参与しない形で校内研修における授業研究の質を高める支援方略を明らかにするために、16の県市町教育委員会、約300の小中高等学校が関わるコミュニティを対象に、授業研究の質を支えるツールやスクリプトの開発、実装、効果検証を行い、授業改善のビジョンや手法といった条件を共有する多様な学校間で活用可能な授業研究支援方略のモデルケース及びその実装における成果と課題を示すことを目的とする。 令和三年度は、開発した「仮説検証型授業研究」をコミュニティ内の小中高等学校で計63回実施した。また、うち31回は、研究者以外がファシリテータ役を務める形で実施した。あわせて過去の授業事例を用いて「仮説検証型授業研究」の一部ないし全部を体験するような集合研修プログラムを15回実施した。また、コミュニティに所属する教育委員会関係者や学校管理職を交えて「仮説検証型授業研究」の活用可能性についてのオンライン協議を行うとともに、特に多くの授業研究を実施した自治体では授業研究を通じた教師の力量向上についてアンケート調査を行った。結果、「授業をデザインするとき、子どもの学びのプロセスを具体的に想定するようになったか」(N=44)について68.2%が「かなりそうなった」、31.8%が「そうなった」、「研究協議の際に子どもの発言や振る舞いを根拠に発言しようとするようになったか」(N=47)について70.2%が「かなりそうなった」、31.8%が「そうなった」と回答している。 「仮説検証型授業研究」の枠組みや事例に基づいて授業研究コミュニティのシステムデザイン要件についてまとめた研究論文(飯窪・白水・齊藤, 2021)を発表するとともに、これまでの授業研究の場のデザインに関する論文を博士論文にまとめ(飯窪, 2022審査中)、関連領域の研究者から研究についてのコメントを多くいただいた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和三年度は、引き続き対面での授業研究実施が難しい状況下でも、開発した授業研究モデルを活用した授業研究を授業改善コミュニティ内での小中高等学校で計63回、うち31回は研究者以外がファシリテータを行う形で前年度より多く実施することができた。あわせて、研究で得られた知見を論文として発表し、他の研究者のコメントもいただくことで、本研究の学術的な意義や課題を確認することができた。以上については当初計画したとおりの成果を得られている。 他方、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症対策のため延期や計画変更を余儀なくされ、オンサイトでの実地調査や連携教育委員会関係者を招聘してのモデルの活用方法についての研修及び意見交流については、当初の研究計画よりも遅延している。授業研究もオンラインでの実施が多く、データの収集は対面の場合と比べると十分に行いにくい状況にあった。あわせて、本研究の最終段階として、教育委員会や学校関係者と連携して本研究で開発した授業研究手法を各学校で自走させていくための支援や条件整備について検討する機会が必要である。そのため、令和4年度に向けて事業期間延長の申請を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和四年度は、主に次の二点での研究の推進を行う。 一点目は、授業研究ファシリテータ向けの研修プログラムの開発と実施、効果検証である。研修を行ったパイロット校の中核教員や教育委員会の指導主事が研究者の支援なしで授業研究を行う様子を観察、参加者、ファシリテータの発話を書き起こしデータ化し、感想と共に分析、効果検証を行う。効果が限定的な場合、ツールとスクリプト及び研修の修正を行う。 二点目は、授業研究の実施を支える体制づくりについての研究である。校内、及び教育委員会と学校の間にどのような環境条件を整えることによって、仮説検証型の授業研究を無理なく実行的に年間の計画に取り入れていくことを支援できるかを調査、デザイン、検証する。 いずれの研究も学校、教育委員会との連携、実地調査を不可欠とするものであり、新型コロナウイルス感染症対策の状況を鑑みつつ計画的に進めたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策によって、予定していた学会参加、実地調査、研究対象者を招聘しての聞き取り調査を行うことができなかったため。 事業期間を延長し、令和四年度は新型コロナウイルス感染症対策の状況に即してこれらを含む研究計画を実施する予定である。
|