2020 Fiscal Year Research-status Report
Reexamining the expansion of secondary education in Madagascar: the transition from school to work
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19K21766
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤村 信英 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30294599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 千尋 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60319994)
杉田 映理 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (20511322)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 国際開発学 / 中等教育 / 教育と仕事 / マダガスカル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アフリカ地域における最貧国の一つであるマダガスカルを事例として、就学から就業への移行(トランジション)について、家庭状況、家族構成、ジェンダー、地域特性等を個別に照合しながら、国際的な潮流となっている中等教育拡大の妥当性を再検討することである。2020年度、新型コロナウイルス感染症拡大により、現地調査はできなかったが、前年度のフィールド調査(2020年2月中旬から4週間実施)で収集したデータ(生徒37名分)の分析を進めた。 2020年度の研究では、高等学校生徒のキャリアプランと個々人の特性に着目し、生徒の仕事へのアスピレーション(願望)の背景にある事柄を探索した。その結果、次のことが明らかになった。(1)現実によらず、高く安定した職業に対する願望を持っている生徒がいる一方で、家族の経験や考え方により、願望を低く設定する生徒もいる。(2)職業を自由に選べれば、積極的に起業することを考えている一方で、それとは逆に他に仕事がない際の最後の選択肢と考える者もいる。若者は、よりよい家族の生活とコミュニティへの貢献を考え、それぞれが有するリソースと障壁によって、各人の願望を再評価、調整している。このような就業へ繋げる個々人の行動とコミュニティのために寄与しようとする姿勢は、政府の政策や介入に関係がない。したがって、政府が取り組む実用性のある技能の習得機会の提供を通じた、学校から仕事への移行を推進する新たな方策の効果は、限定的になることが想定される。なお、本研究成果は、2021年2月に『国際開発研究』誌に投稿し、現在、審査を受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大により海外渡航、フィールドデータ収集ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド調査の実施が当面は厳しく、オンラインによる補足的なインタビュー調査およびさらなる文献研究の実施を考えている。
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Causes of Carryover |
前年度、新型コロナウイルス感染症拡大により、海外渡航が一切できなかったため、次年度使用額が大きく生じた。同感染症拡大の収束も見られないため、リサーチアシスタント(RA)を雇用し、2020年2~3月に収集したデータの分析及びさらなる文献調査を行う。また、マダガスカルへの渡航が可能になれば、海外旅費として使用する計画である。
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Research Products
(5 results)