2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K21830
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大槻 知忠 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50223871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 幹雄 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50181459)
小島 定吉 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (90117705)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 結び目 / 3次元多様体 / 不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
結び目の Kashaev 不変量と双曲体積を関連づける体積予想は、量子トポロジーと双曲幾何をむすびつける懸案の予想であり、最近15年間 世界的にこの分野の中心的な話題となってきた重要な予想である。筆者は、7交点以下の双曲結び目に対して、Kashaev 不変量の漸近展開を精密に計算し、その最初の項に双曲体積が現われることを証明した。これは、この結び目に対して、体積予想が証明されたことを意味する。筆者は、この論文を学術誌に投稿し、出版された。また、3次元多様体の量子不変量の漸近展開に双曲体積が現れることを主張する「3次元多様体の体積予想」も近年定式化されており、8の字結び目を整数係数手術して得られる3次元双曲多様体に対してこの予想が成立することを筆者は証明して、論文が学術誌から出版された。また、漸近展開の準古典極限の項にはReidemeister torionが現れることが観察され、いくつかの例に対して筆者はそれを証明して、論文が学術誌から出版された。 筆者は、2019年5月に数理解析研究所において研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」を開催した。この研究集会において、筆者は problem session を企画し、その成果として未解決問題集を編集した。この研究集会の報告集を数理研講究録として出版した。この研究集会は、筆者や研究分担者や連携研究者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筆者は、2019年5月に数理解析研究所において研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」を開催した。この研究集会において、筆者は problem session を企画し、その成果として未解決問題集を編集した。この研究集会の報告集を数理研講究録として出版した。この研究集会は、筆者や研究分担者や連携研究者との共同研究をすすめるにあたって、また、大学院生等の若手研究者との研究交流の面からも、大変有益であった。 3次元多様体の量子不変量の漸近展開に双曲体積が現れることを主張する「3次元多様体の体積予想」が近年定式化されており、8の字結び目を整数係数手術して得られる3次元双曲多様体に対してこの予想が成立することを筆者は証明して、論文が学術誌から出版された。また、漸近展開の準古典極限の項にはReidemeister torionが現れることが観察され、いくつかの例に対して筆者はそれを証明して、論文が学術誌から出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
筆者は、2020年5月に数理解析研究所において研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」を開催する予定である。 また、3次元双曲多様体の量子不変量の体積予想について、研究をすすめる。この予想の数理物理的背景は、SL(2,C) Chern-Simons 理論であり、数理物理的には、量子不変量を与える経路積分に対して、SL(2,C)接続の空間の中で、形式的に鞍点法を適用することにより、体積予想が導出される。このことは、体積予想の漸近展開の高次の項に未知の不変量が現われることを示唆しており、これについて研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
結び目と3次元多様体の不変量やこれとゲージ理論との関連について、未解決の部分があるため。2019年度の後半に発生したコロナウィルス問題のため、予定していた研究者の招へいを予定通りに行うことができなくなったため。 使用計画は、この研究に関連する研究者を招へいして、研究連絡を行う。
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Research Products
(3 results)