2022 Fiscal Year Annual Research Report
ルビジウムの分子地球化学:分子レベルの物理化学的普遍性が生む多様な地球惑星科学
Project/Area Number |
19K21893
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 嘉夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10304396)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 順司 北海道大学, 総合博物館, 准教授 (60378536)
板井 啓明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60554467)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
Keywords | ルビジウム / EXAFS / 同位体 / 吸着構造 / 分子地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rbは特定の層状珪酸塩(バーミキュライト、イライト)に対して内圏錯体を形成して吸着し、その吸着に伴って同位体分別が起こることが明らかになった[Δ87/85Rb固相-液相= - 0.41±0.15‰(バーミキュライト), - 0.29±0.05‰(イライト)]。この同位体分別では軽い同位体(85Rb)が固相側に濃集していた。一方、Rbはモンモリロナイト、強酸性陽イオン交換樹脂に対しては主に外圏錯体を形成して吸着し、その吸着に伴う同位体分別は検出できない程度に小さかった(Δ87Rb < 0.05‰)。また、EXAFS分析により、堆積岩中のRbも層状珪酸塩への内圏錯体を形成していることが明らかになった。海水-海洋堆積物系では、海洋堆積物と海水との間に分別(Δ87Rb海洋堆積物-海水= - 0.20‰)が起きていた。これらの系でも85Rbが固相に濃集しているように、室内実験で観察されたRb同位体分別は、実際の海洋環境でも見られた。海水および海洋堆積物のδ87/85Rbは地殻平均値よりも有意に高く、δ87/85Rbは海洋に流入する前の河川で高くなっていることが示唆される。実際に、利根川のδ87/85Rbは溶存態-懸濁粒子間で分別され、この同位体分別はイライトとバーミキュライトの室内実験系で観察された同位体分別と一致した。したがって、海水と海洋堆積物のδ87/85Rbは、河川と海洋両方における層状珪酸塩への吸着反応を考慮することで説明できる。以上の結果を踏まえ、Rb安定同位体比の地球化学的応用の可能性として、地球表層の層状珪酸塩の生成の程度(風化度)、個々の水-岩石系の固液比(層状珪酸塩と河川水・海水の量比)、マントル物質中に地殻由来物質がリサイクル成分として含まれるかどうかの指標を提案する。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Presolar Stardust in Asteroid Ryugu2022
Author(s)
Barosch Jens、Nittler Larry R.、Wang Jianhua、O’D. Alexander Conel M.、De Gregorio Bradley T.、Engrand Cecile、Kebukawa Yoko、Nagashima Kazuhide、Takahashi Yoshio et al.
-
Journal Title
The Astrophysical Journal Letters
Volume: 935
Pages: L3~L3
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-