2020 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素低排出・吸収性能をもつジオポリマーの開発への挑戦
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19K22003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 豪 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (10733107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 一夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島支部, 主任研究員 (30590658)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 低炭素建設材料 / M-S-H / 水酸化マグネシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
ジオポリマーの材料となる活性フィラーにはさまざまな選択肢があり、その中で、ケイ酸マグネシウムを原料とするジオポリマーは、その製造、硬化プロセスにおいて二酸化炭素排出量の低減が見込まれるだけでなく、吸収できる材料(カーボンネガティブマテリアル)となる可能性があるが、いまだその製造、硬化プロセスの実用化は実現されておらず、研究分野の成熟度としては萌芽期の段階といえる。 このことから、二酸化炭素排出量の低減に着目したジオポリマーの製造、硬化プロセスの開発のための萌芽的研究として、主に、ケイ酸マグネシウムを原料としたジオポリマーの反応メカニズムおよび性能発現メカニズムの解明に取り組み、固化処理に適した高性能ジオポリマーの開発に利用できる材料物性の取得を行った。軽焼酸化マグネシウムの反応性試験,フレッシュペーストのフロー試験,圧縮試験,熱重量分析,粉末X線回折分析の結果から,軽焼酸化マグネシウムとシリカフュームの混合比によらず,材齢の進行に伴い,圧縮強度,ヤング率が増加することが確認され,その発現には,水酸化マグネシウムとM-S-H相の生成によることが推察された。 現状のコンクリート工学(建築・建設材料学)分野において、セメントの使用量の削減は、建築・建設分野において二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献できるため、産業副産物によるセメントの一部代替や、セメントフリーのジオポリマーの開発が取り組まれている。この現状を踏まえ、マグネシウムを原料とした硬化体の作製および諸物性の取得への挑戦は、ポルトランドセメントと比較して、二酸化炭素排出量の低減だけにとどまらず、二酸化炭素を吸収できる建築・建設材料の発明につながる可能性を見出せるという観点から今後のコンクリート工学(建築・建設材料学)分野における新たな材料開発・材料評価手法の飛躍的な発展に貢献できることが期待される。
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