2019 Fiscal Year Research-status Report
植物性乳酸菌の自然界における動態解析と乳酸菌定着植物での病害抑制現象の基盤解明
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19K22300
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20197164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 春樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (10204885)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 植物性乳酸菌 / 環境微生物 / 植物免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の乳酸菌株の環境中での動態をトレースするため、植物性乳酸菌(Lactobacillus plantarum)を分離株レベルで識別できるRAPDマーカーの作出を行った。サイレージなどから単離された植物性乳酸菌24菌株からDNAを抽出し、PCRの鋳型とした。既報のRAPDマーカー選抜用プライマー配列(17 base)15種類を用いて、アニーリング温度(37℃)でPCR反応を行い、得られた増副産物を電気泳動により解析した。その結果、10菌株で約300-500 bpの菌株特異的なバンドが検出された。それらのバンドをクローニングし、塩基配列を決定することにより、RAPDマーカー選抜用プライマー配列に隣接した塩基配列を明らかにした。 次に、RAPDマーカー選抜用プライマー配列と、決定した隣接塩基配列を含む25 baseのRAPDプライマーを作成し、アニーリング温度(55-60℃)のPCR反応において、安定的に特定の菌株に由来するDNAのみから増幅産物が検出されたことから、この25 baseの長さのプライマーが、植物性乳酸菌を菌株レベルで特異的に検出できるRAPDプライマーとして、特定の乳酸菌株の環境中での動態をトレースに用いることができると考えられた。 次年度は、本RAPDプライマーを用いて、植物性乳酸菌株を定着された植物体内における、同菌株のトレースを実施する予定である。また、まだRAPDマーカーが見出されていない菌株についても、新たなRAPDマーカー選抜用プライマーを用いて、菌株特異的なRAPDプライマーの単離を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物性乳酸菌株を識別できるRAPDマーカーを作出でき、特定の植物性乳酸菌株の環境中や植物体内での動態をトレースできることとなったことから、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)無菌土壌で育成した植物(シロイヌナズナ)の地際部に乳酸菌培養液を灌注処理し、栽培を継続することにより、乳酸菌の植物体根部から導管組織への侵入を解析する。(2)無菌土壌で育成した植物(シロイヌナズナ)の葉に植物性乳酸菌株を噴霧処理し、栽培を継続しながら経時的に、葉の乳酸菌の定着を解析する。(1)と(2)において処理した植物性乳酸菌の植物体内での動態や定着は、令和元年度に作出したRAPDマーカーを用いて行う。さらに、(3)植物性乳酸菌の定着による植物免疫活性の向上について、防御関連遺伝子マーカーを用いて解析する。
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Causes of Carryover |
研究に用いている植物性乳酸菌24菌株中、10菌株でRPADマーカーを作成できた。しかし、残り14菌株については、現在RPADマーカーを探索中であることから、次年度使用額が生じた。9月までに、残り14菌株を特異的に識別できるRPADマーカーを作成する計画である。
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Research Products
(8 results)