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2019 Fiscal Year Research-status Report

レトロウイルス性心筋異常の病態解析と動物モデル化の検討

Research Project

Project/Area Number 19K22356
Research InstitutionIwate University

Principal Investigator

落合 謙爾  岩手大学, 農学部, 教授 (80214162)

Project Period (FY) 2019-06-28 – 2022-03-31
Keywordsトリ白血病ウイルス / 鶏 / 心臓横紋筋腫 / グリオーマ / 不死化細胞
Outline of Annual Research Achievements

本課題のうち,今年度はウイルスの病原遺伝子の探索と,異常心筋細胞の初期化を目指した基礎実験に重点を置いた。得られた成績は以下の通りである。1)骨化石症や粘液肉腫,横紋筋肉腫といった間葉系腫瘍とともにグリオーマを誘発するトリ白血病ウイルス (ALV),GifN_001株の病原性とウイルスゲノムを解析した。感染実験では孵化後75日齢までに45%の鶏に神経膠腫が,36%に小脳低形成が誘発され,接種したALVが脳から検出された。非化膿性心筋炎と心筋細胞内基質封入体の発生頻度は各々54%,36%であったが,異常心筋細胞は認められなかった。次にGifN_001のウイルスゲノム全長の塩基配列を決定後(GenBank accession# MK757486),分子系統樹解析を実施した。envSUに基づく分子系統樹ではGifN_001は既知の神経病原性ALVとは異なるクラスターに分類された。以上の成績から,間葉系腫瘍と関連するALVの神経病原性が初めて確認された。しかし,この神経病原性ALVは心筋内で増殖するものの,心筋には著しい形態変化を引き起こさなかった。2) Km5666株は実験的に心臓横紋筋腫を誘発させることがわかっている。Km5666が分離された日本鶏群の鶏22羽を新たに検索し,8株のALVを分離した。解析の結果,この鶏群には現在もグリオーマが発生していること,envSUに基づく分子系統樹ではFGV 変異株は3つのクラスターに分かれて拡散していること,Km5666近縁株はマイノリティであることがわかった。3)心筋細胞よりも扱いやすい星状膠細胞で不死化細胞の作出を試みた。鶏胚から脳を採取し初代培養細胞に,ヒト変異型CDK4,サイクリンD1遺伝子を発現させるトランスポゾンベクターをリポフェクション法により導入した結果,神経膠細胞を継代5~7代目まで維持できることがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度に当たる今年度は,神経系ばかりでなく心筋細胞に病原性を示すALVを野外で探索するとともに,間葉系細胞の腫瘍性病変と関連して分離されたGifN_001株の病原性と分子生物学的特徴を明らかにした。これら検索から,心臓横紋筋腫を誘発させるKm5666株はきわめてユニークなALVであることが浮き彫りになった。また,今年度の成績から,骨化石症や粘液肉腫,横紋筋肉腫といった間葉系細胞の腫瘍化に関連するALVの中にグリオーマ誘発能を持つALV株が存在することが初めて明らかになった。しかしながら,その一方で間葉系腫瘍と関連するALVでも心臓に対する腫瘍原性はKm5666を除く神経病原性ALVとほとんど変わらないことがわかった。上記のGifN_001に関する成績の概要は国際雑誌Avian Pathologyに報告した。また,病変から取り出した腫瘍細胞の不死化を誘導するために,細胞培養を行ううえで心筋細胞よりも扱いやすい星状膠細胞で遺伝子導入を試みた。その結果,ある程度の期間細胞を維持できることが明らかになり,この条件でも短期間の解析であれば可能であることがわかった。以上の成績が得られていることから,本課題は概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本課題は ALV 誘発性心筋異常の発生機序の解析を目的とする。初年度の検索から,本課題遂行にあたり最も有用なウイルス株はKm5666で,本ウイルス株あるいはその変異株は現在野外ではほとんど拡散していないこと,間葉系細胞の腫瘍化を引き起こすGifN_001株はKm5666との比較に有用であることがわかった。また,これまでにKm_5666を孵卵7日目の有精卵に卵黄嚢内接種すると,35日齢ヒナの25%の心臓に肥大心筋細胞が出現することがわかっている。次年度はKm_5666, GifN_001を有精卵に卵黄嚢内接種し,孵化前の鶏胚および孵化後35日齢のヒナから得た心筋細胞と神経膠細胞で初代培養と遺伝子導入を試みる。これと併行してウイルス非感染鶏胚から得た心筋細胞と神経膠細胞を用いてiPS細胞の作製を試みる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Neuropathogenicity of newly isolated avian leukosis viruses from chickens with osteopetrosis and mesenchymal neoplasms2020

    • Author(s)
      Nishiura Hayate、Kubota Ikuko、Kondo Yui、Kachi Masayuki、Hatai Hitoshi、Sasaki Jun、Goryo Masanobu、Ochiai Kenji
    • Journal Title

      Avian Pathology

      Volume: 49 Pages: 1~25

    • DOI

      10.1080/03079457.2020.1757621

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] トリ白血病ウイルスK亜群に類似する日本分離株の分子系統解析2020

    • Author(s)
      西浦颯,岩本毅,近藤佑衣,竹内颯人,津島文,佐々木淳,落合謙爾
    • Organizer
      第7回日本獣医病理学専門家協会学術集会
  • [Presentation] 熊本地方の日本鶏と国内のブロイラーのALV発生状況2019

    • Author(s)
      岩本毅,西浦颯,若山映令彩,佐々木淳,御領政信,落合謙爾
    • Organizer
      日本獣医師会日本産業動物獣医学会(東北地区)
  • [Remarks] 岩手大学獣医病理学研究室(共同獣医学科)

    • URL

      http://www.agr.iwate-u.ac.jp/lab/

URL: 

Published: 2021-01-27  

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