2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism underlying induction of spontaneous excitation by GPCR and its physiological significance
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19K22443
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
西田 基宏 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (90342641)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | GPCR / 自発活性 / 筋肉 / 炎症性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
既知のGタンパク質共役型受容体(GPCR)250種類について、1種類ずつHEK293細胞に発現させ、シリコンチャンバーディッシュ上に播種することで自発的なCa2+振動(オシレーション)を発生させるGPCRのスクリーニングを行った。その結果、約10種類のGPCRがヒットした。その中で最も自発活性の高いGPCR (GPR-Xとよぶ)について、詳細な解析を行った。GPR-Xは細胞外にインテグリン結合ドメイン(RGD配列)を有しており、このRGDドメインをRGEに変異させることで自発活性は顕著に抑制された。しかしながら、他の自発活性をもつGPCR群にはRGDドメインが保存されておらず、GPCRの自発活性化には全く未知の共通メカニズムが存在する可能性が示された。GPCRとGタンパク質との共役に関わる3アミノ酸を変異させたところ、自発的なCa2+オシレーションが消失した。この結果から、Gタンパク質との共役が自発的なCa2+振動の発生に必須となることが示された。アミノ酸配列情報からヒットGPCRの共通配列が見いだせなかったため、計算科学の専門家である小島涼介先生(京都大学大学院医学研究科)にディープラーニングを依頼し、自発活性に関与しそうな候補アミノ酸を導出していただいた。現在、候補アミノ酸を一つずつ変異させたGPCR変異体を作成し、機能評価を進めている。 次にGPR-X欠損マウスを用いた解析を行った。GPR-X欠損マウスの体重量が小さい傾向があったものの、普段の食餌量、運動量は野生型マウスのそれと差はなかった。糞便の重量や形にも差はなかった。そこで、3%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を投与し、炎症性腸疾患を誘発させたところ、GPR-X欠損マウスにおいて強い炎症抑制作用が観察された。そのメカニズムの一つとして、マクロファージからのサイトカイン産生が顕著に低下していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全GPCRの中から自発的なCa2+振動を起こすGPCRを複数同定し、その共通性・普遍性を計算科学的に導き出す情報を得ることに成功できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の培養条件を、硬さや物理的性質の異なるディッシュ上に播いた際の自発活性や、細胞密度を変えた際の自発活性を網羅的に解析し、自発活性を規定する分子基盤を明らかにする。そして、自発活性のみを欠損させた変異体マウスを作出し、表現型を解析することで、本研究の生理的意義を確立させる。
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Causes of Carryover |
昨年度の研究の中で、自発活性を持つGPCRが複数存在することが明らかとなり、特定のGPR-X欠損マウスの表現型解析だけでは足りず、ヒットGPCRに共通するメカニズムを明らかにし、自発活性制御に関わるアミノ酸部位を置換させた変異体マウスを用いた解析を行う必要が生じてきた。昨年度のディープラーニングの結果から、候補アミノ酸がある程度絞られてきたことから、昨年度作出予定であったGPCR変異マウスの作出を今年度の予算経費で実施し、今年度中に表現型解析を行う。
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