2019 Fiscal Year Research-status Report
HIV感染症・エイズの根治を目指した潜伏感染を標的とする新規治療法の開発
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19K22488
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
玉村 啓和 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (80217182)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質リン酸化酵素 / DAG-lactone / 潜伏感染細胞 / 再活性化 / 抗HIV剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、以前からタンパク質リン酸化酵素C(PKC)の活性化剤を探索しており、PKCの天然リガンドであるジアシルグリセロール(DAG)の環化誘導体であるDAG-lactoneのシリーズが高いPKC活性化作用を有することを見出している(H. Tamamura, et. al., J. Med. Chem., 43, 3209, 2000)。本研究は、DAG-lactone誘導体や他のPKC活性化剤の構造をもとに、潜伏感染細胞の再活性化作用に特化した化合物の創製を目指している。DAG-lactone誘導体は天然のDAGの構造を基にしているので、フォルボールエステルのような腫瘍プロモーター活性を持たないという特徴がある。また、生体への応用を考えた場合、潜伏感染細胞からのウイルスの放出は危険であり、PKC活性化剤と抗HIV剤が同一箇所に作用し、潜伏感染細胞でウイルスDNAを転写させると同時に新ウイルス粒子の形成を阻害することが望ましいと考えられる。そこで、PKC活性化剤と抗HIV剤とのハイブリッド分子を創製し、潜伏感染細胞に作用し、細胞内で2剤が解離し、ウイルスDNAを転写させると同時に抗ウイルス作用でブロックすることを考えている。2019年度の成果としては、潜伏感染細胞からのHIVの再活性化作用の検定試験において良い結果を与えたPKC活性化剤(DAG-lactone誘導体等)をもとに、さらに構造活性相関研究を推し進め、有用なPKC活性化剤を探索した。また、優れた活性を有するPKC活性化剤とHIVプロテアーゼ阻害剤のハイブリッド分子を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、構造活性相関研究を推し進め、HIV潜伏感染細胞からのHIV再活性化作用の検定試験において、有用なPKC活性化剤を探索した。また、優れた活性を有するPKC活性化剤とHIVプロテアーゼ阻害剤のハイブリッド分子を合成した。以上、有用なHIV再活性化剤とその抗HIV剤とのハイブリッド分子を得ているので、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま研究を進め、潜伏感染細胞からのHIVの再活性化作用に特化した有用なPKC活性化剤の探索を行う。また、優れた活性を有するPKC活性化剤とHIVプロテアーゼ阻害剤等のハイブリッド分子を合成する。その際、種々のリンカーにより架橋したハイブリッド分子を合成し、各薬剤の遊離速度を解析し、リンカー構造を最適化を検討する。
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Causes of Carryover |
2019年度は計画通り研究が進行したことと、2020年度に根治に向けた応用に関する化合物合成に物品費を多く必要とするため、
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[Journal Article] Benzolactam-Related Compounds Promote Apoptosis Via Protein Kinase C-Induced HIV Latency Reversal2019
Author(s)
K. Matsuda, T. Kobayakawa, K. Tsuchiya, S. Hattori, W. Nomura, H. Gatanaga, K. Yoshimura, S. Oka, Y. Endo, H. Tamamura, H. Mitsuya, K. Maeda
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 294
Pages: 116-129
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] HIVリザーバー細胞を標的とする新規治療法開発に向けた研究2019
Author(s)
前田 賢次, 松田 幸樹, Mohammad Saiful Islam, 服部 真一朗, 土屋 亮人, 潟永 博之, 玉村 啓和, 吉村 和久, 岡 慎一, 満屋 裕明, 佐藤 賢文
Organizer
第29回抗ウイルス療法学会学術集会
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[Presentation] HIV潜伏感染再活性化を介してリザーバー細胞にアポトーシスを誘導するPKC活性化剤の同定2019
Author(s)
松田 幸樹, 小早川 拓也, 土屋 亮人, 服部 真一朗, 潟永 博之, 吉村 和久, 岡 慎一, 遠藤 泰之, 玉村 啓和, 満屋 裕明, 前田 賢次
Organizer
第67回 日本ウイルス学会学術集会
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[Presentation] HIV再活性化に伴うアポトーシス誘導能を用いたHIVリザーバー除去に資する新たな Shock & Kill療法の可能性2019
Author(s)
松田 幸樹, 服部 真一朗, 土屋 亮人, 小早川 拓也, 潟永 博之, 吉村 和久, 岡 慎一, 遠藤 泰之, 玉村 啓和, 満屋 裕明, 前田 賢次
Organizer
第33回日本エイズ学会学術集会・総会