2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of RNAi system in Plasmodium falciparum
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19K22535
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
坪井 敬文 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (00188616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 英造 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (50366762)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / RNAi |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年においても、マラリア患者は全世界で年2億人、死者は40万人にものぼる。マラリア原虫は複雑なライフサイクルを持ち、多くのユニークな遺伝子配列を持つ。これらの遺伝子がコードする原虫特異的なタンパク質の機能解析は、新規な抗原虫薬やマラリアワクチンの開発等に重要であるが、ほとんど進んでいない。その理由としては、マラリアの病態解明に関わる赤血球期マラリア原虫の遺伝子の機能を探るために遺伝子ノックアウトを行うと、ほとんどの場合で原虫は致死となり、遺伝子の機能の解明には至らない。一方、他分野の研究で一般的なRNAiを用いた遺伝子ノックダウン技術は、マラリア原虫にはRNAiに必須な分子群(RISC)が欠落しているため不可能である。そこで本研究では、人為的にマラリア原虫に恒常的にヒトRISCを発現させ、RNAiが機能するマラリア原虫を作出することを目的に行う。本研究によってRNAi を行うことができるマラリア原虫株を樹立することができれば、遺伝子ノックダウンにおける技術的障壁を取り払うことが可能となり、マラリア原虫の生活環を維持するのに重要な遺伝子を探索することが容易となるため、創薬やワクチンの標的となるマラリア原虫タンパク質を見出すことができる。2019年度は、RISCを形成するタンパク質(Ago2, Dicer, TRBP)をコードする遺伝子を、熱帯熱マラリア原虫に恒常的に発現出来るようにデザインされたプラスミドにクローン化し、マラリア原虫にトランスフェクションする準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、ヒトのRISCを形成するタンパク質(Ago2, Dicer, TRBP)をコードする遺伝子を、培養熱帯熱マラリア原虫に恒常的に発現出来るようにデザインされたプラスミドにクローン化し、培養熱帯熱マラリア原虫にトランスフェクションする準備を行ってきたが、未だトランスフェクション用のプラスミドの完成には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に加えて、2020年に入ってからドイツのグループから、ネズミマラリア原虫にAgo2を発現させることに成功しRNAiが機能する、との論文が発表された。現在、その論文内容を精査し、報告された技術の再現性、培養熱帯熱マラリア原虫への応用可能性について、今後の自身の研究方針も含めて検討中である。
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