2021 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管特異的な放射線治療による新たながん兵糧攻め療法の開発
Project/Area Number |
19K22549
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 成史 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50624912)
高野 真由美 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (60806298)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍血管 / 血管新生 / 血管新生阻害療法 / 放射線治療 / ナノ粒子 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
Folkmanらは、がんの増殖が血管新生をともなう事実に基づき、血管成長因子の阻害により腫瘍を兵糧攻めにする治療法の概念を提案した。その後、血管内皮増殖因子(VEGF)に対する抗体医薬(ヒト化VEGF抗体ベバシズマブ)が開発され、がん治療への応用が始まった。しかし、ベバシズマブ単剤で効果(無増悪生存期間や生存期間)を発揮するのは悪性神経膠腫、卵巣がんのみであり、非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)、大腸がん、乳がんでは他の抗がん剤との併用でのみで効果が認められた。また担がんマウスを使った実験から、がん組織にベバシズマブに対する耐性が生じること(獲得耐性)が分ってきた。以上のように、概念の提唱から50年近く経った現在も、血管新生阻害療法は期待されたほどの効果を示していない。 本研究では、ベバシズマブによる抗腫瘍効果を補強し、血管新生阻害療法を大きく改善する方法の開発を目指している。この目的達成のため、ベバシズマブ投与のモデルマウスに対し、放射線治療効果を増感させる薬剤(金ナノ粒子)を腫瘍血管や腫瘍細胞へ送達させ、低線量の放射線によって「がん兵糧攻め療法」の効果を向上させる研究計画を立案した。 2019年度はベバシズマブ投与と併用する低線量の放射線治療の条件設定を行った。また、金ナノ粒子投与マウスに放射線照射を行い、放射線増感作用による腫瘍縮小効果について検討を行った。この結果を受け、2020年度は併用療法の質的効果を評価するため、その指標として重要となる「腫瘍血管の形態解析」、「腫瘍血管の血流解析」、「腫瘍血管の機能解析」、以上の評価技術の開発を中心に進めた。そして2021年度は、2020年度に開発した評価技術をベバシズマブ等の血管新生阻害剤と放射線治療を併用したマウスの抗腫瘍効果の質的評価に応用した。その結果、血管新生阻害剤が誘導する薬効を向上させる治療法の方向性を見出した。
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